夏の鼻づまりが油断ならない理由と、おすすめ漢方3選(漢方薬剤師・鹿島絵里さん)
「漢方薬店kampo's(カンポーズ)」薬剤師・薬学博士の鹿島絵里さんが漢方医学視点からのカラダづくりを提案する連載「漢方でつくるヘルシーボディ」。今回は鼻づまりに効く漢方薬について。
鼻づまりが熱中症を招く?
漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
マスク、夏の高温多湿、寝苦しい夜、熱中症のリスクは沢山ありますが、そのひとつに鼻づまりがあることをご存知でしょうか。
鼻は別名「脳の冷却装置」と呼ばれます。というのも、鼻腔の奥には脳とつながる毛細血管がたくさん通っており、鼻呼吸をして冷たい空気を通過させることで効率的な熱交換を行いながら脳を冷やすことができるからです。
しかしこれが鼻づまりで塞がってしまうとどうでしょうか。冷たい空気が通過するどころではありませんね。
脳の中心部にある自律神経中枢は、心拍、血圧、血流、消化などをコントロールし、さらに熱中症にダイレクトに関わってくる発汗の調節も行います。肉体的な運動や精神的なストレス、さらに高温や大きな気温差といった環境によって、自律神経には負荷がかかります。
それはあたかも熱を持ったパソコンのCPUです。鼻呼吸というファンで適切に冷却する必要があります。
慢性的な鼻炎をお持ちの方は鼻はまめにかむこと、それでもすっきりしないとか、鼻をかんでもうまく詰まりを解消できない場合は漢方薬の助けも借りてみるといいと思います。
鼻づまりを解消する漢方薬3選
① 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
粘り気のある濃い鼻水のタイプの方に…
このタイプはカラダに熱がこもっている体質です。熱中症ハイリスクと言えるでしょう。荊芥連翹湯は余分な熱を冷やして追い出すとともに、鼻の通りを良くする漢方薬です。ニキビが出やすいなどの特徴も併せ持っていたら、こちらがおすすめです。
② 辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
鼻腔の乾燥が気になるタイプに…
やはり体内に熱がこもっており、鼻づまりとそれに伴う頭痛、鼻腔の乾燥などが気になる場合はこちらを選択してみてください。潤いを取り戻すことで咳の症状にも対応できます。嗅覚が鈍るような鼻づまりにも用いられます。
③ 葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)
冷房下で悪化する鼻づまりに…
一般にカラダが冷えてくると水の代謝が悪くなります。そして水分代謝が悪くなった結果として鼻づまりが引き起こされます。
冷えていれば熱中症は防げそうな気もしますが、カラダが冷えれば適切に脳が冷やされるかといえばそうではありません。やはりめぐりの良い状態にして自律神経に負担をかけすぎないようにしたいものです。
花粉症の季節以外も油断をしない
鼻炎といえば花粉症の季節にケアをするイメージですが、実はこんな暑い夏の日々も私たちの日常を脅かす存在です。鼻呼吸を上手に使って熱中症のリスクを下げられるようにしましょう。
もちろん、普段の生活の見直しも大事ですよ。慢性鼻炎や副鼻腔炎の解消には漢方薬だけでなく腸活もプラスに働くはずですので、こちらもぜひ取り入れてみてくださいね。