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「漢方薬店kampo's(カンポーズ)」薬剤師・薬学博士の鹿島絵里さんが漢方医学視点からのカラダづくりを提案する連載「漢方でつくるヘルシーボディ」。今回は梅雨時期の養生法について。
漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
ゴールデンウィークも過ぎ、二十四節気は立夏。夏の気配を感じ始める頃ですが今年は雨天が多いですね。梅雨にはまだ早い気もしますが、関東甲信地方の最も早い梅雨入りは5月6日という記録もありますから侮れません。
雨天といえばどうも気が滅入りがち、頭痛が起こりやすい、食欲もイマイチなど、微妙なトラブルが多発しやすいものです。微妙ゆえに軽視されて、これといった対策も講じられないまま鬱々と過ごすのが世の中のスタンダードになっていますよね。
立夏はまだまだ春の気配が強く風邪(ふうじゃ)が活発で、そもそもプチトラブルの多い時期なのですが、今年に限っては春の気配も残しながらの雨天続きですから、いつになく手強いシーズンと言えます。
暖かい季節に雨が降ると湿度が上がりますが、不快とは感じながらも暑さ・寒さに比べると湿度には無防備なのが現代人ではないでしょうか。漢方の世界では高い湿度もまた湿邪(しつじゃ)と認識され、風邪(ふうじゃ)、暑邪、寒邪などとともにカラダに害をなす原因として論じられてきました。
こうした漢方の知恵を現代風にアレンジして今おすすめの養生法をご紹介したいと思います。これから来る梅雨に備える意味でも、早めのセルフケアが邪気に負けないコツです!
もともとカラダの中に水を溜めこみやすい体質の方には、汗をしっかりとかいて体の外に出すことをおすすめします。運動で汗をかくのはもちろんいいですし、入浴時に塩分濃度の高いバ力スソルトを使ってみるのも、発汗には効果的です。
発汗後は水分補給を忘れずに。もちろん多過ぎる糖分やアルコール分は避けてくださいね。せっかく追い出した湿邪を、また湿邪で補うようなものですから! ミネラルを含む良質の水分を摂ってください。
元気がないから焼肉か寿司でも食べて栄養付けよう!と現代人の多くは思いがちですが、漢方的視点から見たらNGどまんなかです。元気は胃腸から作られますが、実は脂っこいものや生ものは胃腸に負担をかける代表的な食べ物なんです。
胃腸は湿邪に特に弱く、ここがダメージを受けると食欲が落ちるだけでなく精神面までもネガティブにしてしまいます。食欲が落ちていたら「胃腸を休めよ!」のサイン。食事を抜いて空腹を感じるまで待ってみてください。
何か摂るのであれば温かく消化にいいものを少量にしてみましょう。胃腸が温まり活発になってきたら自然とお腹もすいてくるはずです。
漢方薬の五苓散は、むくみ体質なのにのどが渇く、そんな水分のアンバランスを整えるのに有効です。めまい、はきけ、頭痛、むくみなどが多湿の気候と連動する方によく合います。水様性下痢、暑気あたり、二日酔いにも有効ですよ。
日頃から胃腸が弱くて疲れやすい自覚があれば、この処方をおすすめします。食欲がなく、みぞおちがつかえ、貧血性で手足が冷えやすい方の消化不良、食欲不振、胃痛、嘔吐に効果的です。
多湿の時期は胃腸ケアと水分のバランスを整えることを意識してみましょう。雨の鬱々を吹き飛ばして、前向きに日々を過ごすポイントです。