目の疲れが取れる、3大エクササイズ
スマホ、PCとにらめっこで、長時間一点に集中。そんな光景は日常茶飯事とも言えるが、実はこれ、目には負担大。目の疲れを取る3つのエクササイズを実践しよう。
取材・文/石飛カノ 撮影/谷尚樹 スタイリスト/高島聖子 イラストレーション/イオクサツキ 編集/阿部優子 撮影協力/UTUWA
初出『Tarzan』No.831・2022年4月7日発売
教えてくれた人
林田康隆先生(はやしだ・やすたか)/日本眼科学会認定眼科専門医。〈Y’sサイエンスクリニック〉理事長・院長。難治性白内障手術、網膜硝子体手術に取り組むと同時に、再生医療のスペシャリストとしても活躍。
一点集中で起こる目のリスク
夕方には目がショボショボ、しょっちゅう目が乾いてカサカサ、一日の終わりに目の奥がズーンと重い。これらは現代人特有の目の疲れ。
「人類はそもそも自然の中で獲物を発見し危険を回避し生き抜くために視覚を使っていました。微妙な色合いや光の変化を見極めて、周囲の状況を正確かつ迅速に把握しなければ命の危険があったわけです。そのためには視線をぐるぐる動かしてもいたでしょう。
ところが現代人は一点集中でスマホとにらめっこという人が少なくありません。ながらスマホも同様で、目の使い方が極端に偏り、しかも酷使されています。環境の激変でそれに対応できるのは素晴らしいのですが、その代償で病気になることも。
生活習慣病はその一例で、目も例外ではありません。近くばかり見る生活になると、遠方中心の生活よりも周辺網膜に映る像がボケやすくなり、その刺激が眼球を前後方向に伸ばします。結果的に網膜が薄くなったり視神系の接合部が脆弱になり、網膜剝離や緑内障のリスクが上がります。つまり、失明の可能性さえあるのです」(林田さん)
現代人の目の危機に、下の3つの運動で対策を。
① 近くから遠くへ視線をずらす
ピントをずらし、毛様体筋というピント調節の目の筋肉を動かす。片手にペンを持ち、まず目の前にできるだけ近づけて寄り目でピントを合わせる。次に腕を最大限伸ばしてペンの先にピントを合わせる。最後は2m以上遠くに視線を向ける。1秒間隔でこれを行い、5〜10セット繰り返す。
② 眼球だけを回転させる
普段、視線をあまり動かすことのない生活で眼球が動きづらくなっている状態を改善するトレーニング。上、右斜め上、右横、右斜め下、下、左斜め下、左横、左斜め上、上の順番で眼球だけをしっかり動かす。時計回りで1周したら反時計回りでもう1周。
③ 全力でまばたきをする
一点凝視することでまばたきの回数が減ると、涙が出にくくなりドライアイに陥ることも。そこで全力でまばたきトレ。ぎゅっと目を閉じると同時に口を閉じて顔のパーツを真ん中に寄せる。次に目を大きく見開くと同時に大きく口を開ける。ドライアイ対策&表情筋トレにも。5〜10回。
リモートワーク中はこまめに画面から目を離す
リモートワーク中は長時間PC画面を凝視しがち。こまめに視線をずらす習慣をつけよう。その際、2m以上先に視線を向けると緊張した毛様体筋のストレッチになる。観葉植物や壁のポスターなど目標を決めてもいい。後ろに窓があるならデスクに鏡を置いて外の景色を眺めるという手もあり。