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カラダ作りに関する知識を深める「ストレングス学園」。第23回は、目的に応じた有酸素トレーニングの客観的指標となる「心拍数」について。
有酸素トレーニングのプログラムは、個人の身体能力、コンディション、年齢、トレーニングのレベル、目標などによって適切な強度の運動を行う必要がある。その客観的な指標として有効なのが、心拍数だ。
心拍数とは、心臓が1分間に拍動する回数のこと。
正確に測定するには胸にセンサーをつけた状態での心電図や心拍計といった方法もあるが、手首の親指の付け根あたりに反対の手の人差し指、中指、薬指を添えて脈拍を数えるという手軽な方法もある。
呼吸が落ち着きリラックスしているときに測る「安静時心拍数」は、健康状態のバロメーターとして毎日測定するのが望ましいとされている。
安静時心拍数は飲酒や睡眠不足、過労といった小さな心身のストレスによっても変動し、無自覚の体調の変化を読み取ることができるためだ。成人の安静時心拍数の目安は60〜80回/分なので、正解は2。アスリートはさらに低い場合もある。
「1か月で○㎏痩せたい」「ハーフマラソンを完走できるよう持久力を高めたい」といった目標を定めたとき、効率的にゴールに近づくために設定しておきたいのが目標心拍数だ。目標心拍数の計算方法として多く用いられているのが、
【最大心拍数(220−年齢)×運動強度(%)】
という計算式。
年齢とともに減っていく最大心拍数を「220−年齢」で算出し、その最大心拍数に対する運動強度(%)から運動中に維持する心拍数を割り出したものである。下の表は目的に応じた運動強度の目安。脂肪燃焼を目的とした場合、「最大心拍数×60〜80%」で目標心拍数を算出できる。
90〜100% | 最大強度:アスリートの運動能力(無酸素持久力)向上 |
---|---|
80〜90% | 高強度:持久力向上、短時間での運動能力向上 |
60〜80% | 中程度:基本的な持久力向上、脂肪燃焼 |
50〜60% | 軽度:運動不足の解消、リカバリー目的 |
答えは1のカルボーネン法。2、3の選択肢は誤りだが、最大心拍数と安静時心拍数は算出に必要な数値である。
カルボーネン法は、安静時からどれだけ心拍数を高められるかを示した予備心拍数(HRR)を用いて目標心拍数を割り出す方法。予備心拍数を「最大心拍数−安静時心拍数」で算出し、そこに目的に応じた運動強度(%)を掛けた下のような計算式になる。
(220-年齢-安静時心拍数)×運動強度(%)+安静時心拍数
たとえば、【安静時心拍数が70拍/分の40歳男性が、60%の運動強度でジョギングしたい場合の目標心拍数は?】という問いの場合、計算式に当てはめると「(220−40−70)×60%+70」となり、目標心拍数は136回/分が正解。
取材・文/黒澤祐美 イラストレーション/モリタクマ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)
初出『Tarzan』No.830・2022年3月24日発売