問1. 「最大酸素摂取量」を指標として用いる能力はどれ?
- 全身持久力
- 全身筋力
- 全身筋持久力
ヒトは呼吸によって取り入れた酸素を利用して糖や脂質を分解し、運動エネルギーを作り出している。運動の継続時間や強度が上がっても、体内に十分な酸素を取り入れて利用できる能力を全身持久力という。
全身持久力の指標として用いられるのが、最大酸素摂取量(V・O2max)だ。
体内で使用される酸素の量を示した酸素摂取量(VO2)に対して、最大酸素摂取量(V・O2max)とは全身の細胞レベルで利用できる酸素の最大量のこと。心臓が細胞まで酸素を運ぶ効率性を示す「心拍出量」と、細胞がどれだけ効率的に動脈系から酸素を摂取するかを示す「動静脈酸素較差」を用いて次のような式で表される。
「V・O2max=心拍出量×動静脈酸素較差」
最大酸素摂取量(V・O2max)は1分間に体重1㎏当たりが取り込める酸素の量(単位:mL/kg/分)を示し、フィットネスにおいてはこの値が大きいほどコンディショニングレベルが高いとされている。
問2. 一般的に最大酸素摂取量が一番高いと考えられるのは?
- ボディビルダー
- 長距離ランナー
- テニスプレイヤー
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」では、性・年代別最大酸素摂取量の基準値が定められている。
たとえば、18歳〜39歳男性のV・O2maxの基準値は39mL/kg/分。これに対して、マラソン選手のような持久系アスリートのV・O2maxは2倍以上である80mL/kg/分に近い数値が報告されている。というわけで正解は2。
さらにアスリートの筋肉では毛細血管も発達しており、筋肉が効率的に酸素を取り込むことができる。その酸素を使ってATP分子(エネルギー)を生み出すのがミトコンドリア。つまりアスリートはこのミトコンドリアの機能も高く、中・長距離走のトップ選手では、一般人の約3倍であるといわれている。
また持久系アスリートの肺の細胞は酸素を血中に取り込む力が一般人の1.3倍ほどあり、運動中に吸って吐ける空気の量も多い。このように持久力は心臓、筋肉、肺の働きによって総合的に決定する。
問3. 心臓は鍛えられる?
- ○
- ×
答えは〇。心臓も心筋と呼ばれる筋肉からなり、トレーニングを積むと心臓も大きくなってくる。一般人の心臓は安静時、1分間に70回ほど脈を打つのに対し、持久系アスリートの中には半分の35回ほどしか脈打たない人もいる。
これは、心臓が肥大することでポンプ機能が高まり、1回の拍動で全身に送り出す血液が増えるため。一般成人の心拍出量が120mL程度であるのに対し、アスリートは180mLと約1.5倍。
1回に送り出す血液量が多いため、反対に安静時の脈拍数は少なくて済む。このような心臓を「スポーツ心臓」という。