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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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「漢方薬店kampo's(カンポーズ)」薬剤師・薬学博士の鹿島絵里さんが漢方医学視点からのカラダづくりを提案する連載「漢方でつくるヘルシーボディ」。今回は「食品添加物が腸内フローラに与える影響」をご紹介。
漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
さて、私たち現代人の生活は多くの食品添加物によって支えられています。人の口に入るものであり、食品の保存期間をのばすその性質は、科学の目からも、政策という視点からも重要です。食品添加物は安全、危険、賛否両論ありますが、時代が進んで新しい技術が生まれたなら、その安全か危険かに関する情報もアップデートされるべきですよね。
今回は腸活の目線から食品添加物に関してお話してみたいと思います。
結論から申し上げますと、食品添加物のなかには腸内細菌に影響を与えるものがあります。そして同時に腸管バリアを変化させ、また免疫反応を必要以上に強くして体調不良を起こしたりすることが確認されています。
これまではなかった「腸内細菌への食品添加物の影響」が測定できるようになったことは、私たちに新たな知見をもたらしています。今回はそのなかでも私が気になったノンカロリー人工甘味料、乳化剤、保存料に焦点を当ててご紹介します。
ノンカロリー人工甘味料はカロリー摂取量を増やさずに甘味をつけることができ、清涼飲料水、スナック食品、無糖キャンディ、乳製品などに含まれています。アセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロースなど、食品表示でもよく見かけるものです。
ヒトおよび動物実験の最近の知見によると、これら人工甘味料の消費は腸内細菌の異常と関連があるというのです。
中でも興味深いのが、病的肥満の成人において、人工甘味料強化食が酪酸産生の減少に関連しうるという報告です。酪酸は短鎖脂肪酸のひとつで腸内細菌が人のカラダの中で作り出して、適切な食欲の低下や褐色脂肪組織の活性化によって抗肥満効果を発揮する物質のひとつです。
ダイエットのために人工甘味料のノンカロリー食品を積極的に食べていると酪酸が減って、逆に「太るサイクル」を加速させる可能性があるということです。
次に乳化剤ですが、乳化剤は加工を容易にするため、あるいは加工食品の食感や保存性を向上させるために用いられ、さまざまな加工食品、特に欧米の食事には非常に多く含まれているものです。カルボキシメチルセルロースやポリソルベートなどと呼ばれ、ソースやマーガリンなどにも含まれますが、加工食品の食品表示になると物質名そのものはかくれてしまっている場合も多いです。
マウスやラットを用いた実験では、乳化剤が腸の粘膜を厚くしてくれたり炎症を抑えてくれる細菌たちに良くない変化をもたらすことが確認されています。
優秀なバリアであり、いい菌の住処にもなる腸の粘膜が薄くなり、また必要以上に免疫機能を活性化して炎症を起こしてしまいます。アレルギー体質や花粉症の改善に食品添加物を避けることが有効だという体験は、乳化剤による腸内細菌への影響を反映している部分があるのかもしれません。
最後に保存料です。防腐剤として添加される保存料には天然のものと合成物質があります。
天然の添加物である食塩もまた腸内細菌に影響して、炎症、高血圧、肥満につながることが分かっていますが、ここでは安息香酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウムなどの抗菌性人工保存料についての知見をご紹介します。
そもそも保存料は細菌などを増殖させないように添加するものなので、そりゃあ腸内細菌にも多少は影響あるでしょうよ、と想像がつくと思います。
その影響はおそらく想像より悪く、上に挙げた保存料の試験では、どんな腸内細菌の増殖も一様に抑えるのではなく、抗炎症作用を持つ腸内細菌の方が、炎症性の腸内細菌より影響を受けやすい結果となりました。つまり保存料の摂取もまたアレルギー体質を生む原因であると言えるのです。
食品添加物の安全性の試験に、腸内細菌の変化を検討する項目は現在ありません。また食品添加物入りのものを食べたからといって私たちにはすぐに自覚するほどの体調変化は普通起こりません。
でも、実際にはひとつの食品の中には複数の食品添加物が入っているのが常で、更に私たちは毎日毎日、年齢と同じだけの時間、これらに晒されています。
毎日の食事から有害添加物を完全に除去するのは現実的でない部分もありますが、気を付けて減らすよう努めるだけでも、腸内細菌にやさしい生活になるのではないでしょうか。ダイエット、免疫、メンタルヘルスに影響する腸内細菌。大事なパートナーですから、いたわってあげたいですね。