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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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「漢方薬店kampo's(カンポーズ)」薬剤師・薬学博士の鹿島絵里さんが漢方医学視点からのカラダづくりを提案する連載「漢方でつくるヘルシーボディ」。今回はお正月明けの風習である「七草がゆ」の成り立ちと効能についてをご紹介。
漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
1月7日は七草がゆを食べる習慣があります。お正月の疲れた胃を休めてくれる七草がゆ。中国の人日(じんじつ)の節句の風習が日本に伝わって、今の形になったと言われています。
一年の無病息災を願いながら、お正月の祝宴で使いすぎた胃を休めるために、7種の草(野菜)を入れて炊いたおかゆをいただきます。
1月7日に七草がゆとしていただく春の七草ですが、他に秋の七草があるのはご存知でしょうか。春の七草が食用なのに対して、秋の七草は観賞用です。ピンクや紫などのあざやかな色彩で楽しませてくれる秋の七草は花が主役の面々ですが、七草がゆに用いる春の七草は全草が主役です。
旧暦の1月7日は、現代の暦でいえば1月末~3月上旬。当然きれいな花の季節ではありません。春の七草は長い冬の中にようやく訪れた春の気配を感じさせてくれる存在だったのです。
春の七草とは、
の7種類です。
せり、かぶ、だいこんはスーパーで簡単に手に入る馴染みの野菜です。しかし七草がゆの習慣が生まれた当時は栽培も流通も現代のようにはいきません。七草の若芽を摘みながら健康を祈願し、また実際に、七草に体調を整える性質があることをかつての人たちは知っていたのでしょう。
冬に青い野菜が簡単に手に入らなかった時代の貴重なビタミン源だったはずです。お正月にごちそうをいただいて胃が疲れたと感じられる現代とは、また違った意味合いで親しまれていたのかもしれませんね。
個々の七草にはそれぞれ、リウマチにいい、肝臓にいい、目にいい、痔の薬になる、などなど、色々な効果が言われていますが、刻んでおかゆとしていただく量で、薬のような効き目を期待することは難しいです。
大根には消化を助ける酵素が豊富ですが、これも熱を加えると失活してしまいます。では七草がゆは気休めで全然意味がないかと言われれば、そんなことはありません。
食べて実感するのがもっとも手っ取り早いですが、漢方の視点をまじえて解説してみます。
漢方の視点で七草がゆを見てみると、まず全草を用いるものが多いところがポイントです。七「草」と言えば地上の青い、いわゆる「草」の部分を想像してしまいがちですが、この青い部分はもちろん、地下の根っこまで全ていただくものが多いです。
葉、茎、根、皮、それぞれに役割があり、それぞれが違う栄養を蓄えています。これをまるごといただくことを「一物全体(いちぶつぜんたい)」といい、漢方で大事にされる考え方です。
また、土地のものをいただくことが、そこに住む人のカラダを良くすることも昔から伝えられていて「身土不二(しんどふじ)」と表現されます。その季節にその土地のものを食べる。
これがカラダを自然に調和させて健康に生きる方法だというのは、本能的にうなずけてしまうところではないでしょうか。
科学が発展して様々な栄養分析が可能になりましたが、新たに発見される成分やその役割は時代がすすむだけ増えており、これから見つかることもきっとたくさんあります。
今わかっているほんの少しの事柄だけを取り上げて「熱で失活するから意味がない」などと切り捨ててしまうのは時期尚早です。昔から大事にされてきた習慣のメカニズムを解明するのにまだ科学の力が追い付いていないことは、多くに人に知っておいてほしいことです。
「白飯に漬物が好き!」その意見に大賛成です。
が、あえての七草がゆにはやはり意味があります。生ものや冷たいもの、お酒、味の濃いものや油の多いものを食べすぎると、胃腸は酷使されてうまく働けなくなってしまいます。
温かいおかゆはそれ自体が消化に良く、また胃腸を適度に温めて元気にしてくれる作用があります。病後の人がおかゆを食べて元気を取り戻すように、お正月のごちそうのあとにも同様のケアをして酷使した胃腸を回復させておくのが未病を治すことになります。
ちなみに、辛いものや油もので胃腸に熱がこもっている場合は温かいおかゆを受け付けないこともあります。そんな時は大根おろしがおすすめです。
加熱しない大根は消化を助けて熱をさます手伝いをしてくれますので、おかゆとして炊かずにトッピングもいいですよ。
カラダに合った食べ方で七草がゆを楽しんでください。