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〈ナイキ〉のランニングシューズ3足を履き比べ! シューズトライアル体験レポート
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お酒好きが妥協ではなく、あえてノンアルを選ぶ。そんな時代が到来する予感。
「昨今のノンアルコールブームは健康意識の高まりの影響も受けています。健康と聞くと身体的な側面を思い浮かべるかもしれませんが、精神面にもつながるのがノンアルの特徴。飲酒して酔うと仕事ができないなど行動が少なからず制限されますが、ノンアルなら満足感を得つつも制限なく過ごせます」
と話すのは2021年11月に『ノンアルコールドリンクの発想と組み立て』を上梓した安藤裕さん。
安藤裕さん
あんどう・ゆう/1991年生まれ。2018年、ノンアルコール専門商社〈アルト・アルゴ〉を創業。オンラインノンアルコールセレクトショップ〈nolky〉も運営。
アルコールがないならジュースと一緒では!? と飲ん兵衛のツッコミが聞こえるが?
「ジュースとの明確な線引きはありませんが、ノンアルの作り手はアルコールのような味わいや楽しみ方、“お酒らしさ”を想定します」(安藤さん)
その“お酒らしさ”とは具体的にはどのようなものなのか?
「既存のお酒の味わいや香りを分解して、アルコールなしで再構築する。このプロセスを経て“お酒らしさ”はつくられます。ジュースでは感じられない嗜好性が特徴です」(安藤さん)
昨今、海外ではノンアル市場が盛り上がりを見せているそう。
「かつてノンアルコール飲料はお酒を造ってからアルコール成分を抜く “引き算”の製法が主流でしたが、2015年頃から新たな文化がイギリスを起点に世界的に広がりました。
この頃からいろんなハーブやスパイスを足すことで独自の味わいや香りを表現する“足し算”をノンアルづくりに取り入れる潮流が目立ち始めた。またノンアルでも料理とのマッチングを楽しむペアリングも主流になりつつあります」(安藤さん)
今回、安藤さんがそんなペアリングを自宅でも楽しめる、ふたつのレシピを紹介してくれた。
「ペアリングは似た味わいを組み合わせる同調と、五味をもとに料理に足りない要素を飲み物で足す補完に二分されます。今回紹介したレシピはノンアルにも力を入れている〈ザ・ペニンシュラ東京〉のバーテンダー・鎌田真理さんが手がけたもの。
《洋梨とコーヒー》は同調で、チョコレートに似たニュアンスのコーヒーを合わせた一杯。《胡瓜とミント》は補完で、塩味のない淡泊なナッツから逆算し、胡瓜やミント、レモンのほのかな青みや酸味を組み合わせています」(安藤さん)
いずれも身近な材料だけで作れるのも魅力。極上の夢見心地を味わおう。
取材・文/門上奈央 撮影/山本嵩 レシピ提供/ザ・ペニンシュラ東京〈Peterバー〉
初出『Tarzan』No.822・2021年11月11日発売