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早稲田大学競走部が〈ASICS〉の《Runmetrix》で走る理由
2021年、陸上界は大学生年代のヤングアスリートが目覚ましい活躍を見せた。「ワセダから世界へ」をスローガンに掲げる早稲田大学競走部もまた、世界を目指しトレーニングに励んでいる。その進化のために選んだのは〈ASICS〉のランニングフォームコーチングアプリ《Runmetrix(ランメトリックス)》。
編集・取材・文/本田賢一朗 撮影/坂本政十賜
ケガをしないチーム作りに必要な“データ”
「いろんなバックグラウンドの人間が集まっているのが早稲田。考え方もいろいろですが、互いを認め、刺激し合っているチームです」。辻文哉選手(2年)はチームをそう評する。
三大駅伝に出場する強豪の中でも部員数は圧倒的に少なく、一般入試を経て入部する選手が多い早稲田大学競走部。“一般入試組”は、陸上の専門的な指導を受けたことがなく、効率の悪い走り方で筋力的にも劣っていてスピードが出せない選手も多い。同部・相楽豊監督曰く「よちよち歩きから教える」ところから始まるという。
そんな早稲田には2つの指針がある。ひとつは“ワセダから世界へ”。学生陸上界をリードし、在学中から世界選手権やオリンピックで日の丸を背負い世界の舞台で戦う選手を育成すること。
そしてもうひとつが、「市民ランナーと変わらない」一般入試組の選手が4年間努力を積み重ね、正月に開催される大学駅伝の出場を実現することだ。
そこで相楽監督が就任以来掲げているのが「ケガをしないチーム」作り。ケガをしないことで練習が継続でき、他大学と比べ選手層が薄いチームで大事な試合に主力が離脱しても、全員で戦えるようにするためだ。
以前から大学のスポーツ科学研究室と協力し、ランニングの動作解析に取り組んではきたが、データは年2〜3回程度しか収集することができない希少な情報だった。
継続性があり、日常的なデータ活用が待たれていたところに今年登場したのが、〈アシックス〉と〈カシオ〉の協業による《Runmetrix(ランメトリックス)。
アシックスのデータと知見でフォームを分析
センサーを腰に装着し走ることで、20以上の指標から重心移動のスムーズさや左右のバランスなどのランニングフォームを計測。アシックスが長年培ってきたランニングに関するデータと知見からパフォーマンス向上のための情報を提供するスマートフォンアプリだ。
ケガをしないチーム作りのため、重心を意識したトレーニングを積極的に行ってきた同部で今年の3月から主に2年生以上を対象にランメトリックスを採り入れている。データは、主に本番のペースで走るポイント練習でとっている。
データは監督も指導の現場で培ってきた知見と8割方は合っているものの、残り2割は「まったく想像もしていなかった」結果で驚きの連続だという。
“理想とするフォーム”がデータでも判明
「ゆったりと大きなストライドの走り方が、これからの駅伝で勝つトレンド」と言う相楽監督が、理想的な走り方をしている選手として挙げたのが諸富湧選手(2年)。トラックシーズンは3000m障害を主戦場としている。
早稲田大学との連携協定を結んでいるアシックスはデータ分析の面でサポート。同・スポーツ工学研究所の平川菜央さんによれば「諸富選手は骨盤の回転が大きく、かつブレーキも少ない走りで、一般のランナーであればブレーキがかかってしまうところでも減速が小さく、スムーズに推進出来ています。3000m障害の選手だからか踏み込みの力が強く、上に跳ぶような走り方。右足の接地時間が長く、腰の沈み込みもやや大きいので、それらを改善すれば回転も上がりパフォーマンスは上がると考えられます」。
「自分の感覚とランメトリックスのデータはほぼ合っていると感じます。大きくゆったり走ることを意識していますが速いペースでもフォームが維持できるよう、普段のジョグから腰の沈み込みの改善などに取り組んでいます」(諸富選手)
感覚ではわからなかった自分の動き
トラックシーズンでは10000mを専門とする辻選手も駅伝でレギュラークラスながら試合直前にケガも多く、悔しい思いをしてきた。データへの関心も高く「面白く」見ていると言う。
「ストライド、蹴り出し時間も短く回転数で進むピッチ型。キロ3分以上のスピードになると右に比べて左はストライドが伸びておらず、着地衝撃が小さい。着地衝撃が小さいことは身体への負担という観点では良いことですが、辻選手の場合左右で大きく差があるため、左脚は地面からの力を進む力に変換できていないともいえるかもしれません」(平川さん)
「左右で着地衝撃やストライドが顕著に違うことは、疲労の残り方や監督からの指導でも感じていましたし、試合前にケガしたのも左足だったので自分の感覚と一致しています。腰の沈み込みや特にスピードが上がった時に蹴り出しに左右差が出ないように取り組んでいます」(辻選手)
「スピードが上がった時に着地衝撃に左右差が出てくることは自分では実感がなく、不思議です。コーナーがあるトラックでの練習での計測なので、それによる影響での数値なのか弱点なのか他の選手との比較も必要かもしれません」(辻選手)
実際ケガの発生率は減り、データから直近の目標に対してはどこを改善すべきか、さらに先を見据えた長期的なところで何に取り組むのかなど選手と話し合いながら練習方針を決められるようになったことに監督も選手も成果を実感している。
早稲田の個性を最大化する
アシックスの平川さんも早稲田のデータを見てきて、得るものが多いようだ。「接地の位置を変えたら、数値が良くなり調子が上がったなどトライ&エラーをしてもらい、多くのことをアスリート目線で見出して頂いています」
また故障明けに、踏み込み時の力の左右差が均等になってきたことをデータで確かめられたら強度の高いポイント練習を再開するといったコンディショニングの目安としても活用できるなど可能性が広がっているという。
かねてより個性を大切にしてきた早稲田だが、「以前は10人いたら3グループくらいに大別していた。でも、ランメトリックスのデータを見るほどに走り方は10人いたら10通りだと改めて知りました」(相楽監督)
今年は、各学年に世代トップクラスの選手が揃い、1500m、5000mそして長距離と違う武器をもつ選手が揃った。一般入試組にしても4年間努力を重ねてレギュラークラスに上がってきた選手がいて、まさに「早稲田が目指す理想的なチーム」。
データと感覚。アシックスのスポーツ科学と個性豊かな早稲田の選手たち。目指す理想に向けて、多様なランニングの足並みは揃い始めている。
INFORMATION
モーションセンサー《CMT-S20R-AS》
スマートフォンアプリ《Runmetrix》に対応したセンサーデバイス。GPS機能+9軸センサーを内蔵し、ランニング中の動きを高精細に測定。骨盤の傾きや体幹の後傾など20種類以上の指標でフォームを解析する。IPX7準拠の防水性能、約20時間の連続使用に対応。サイズ:幅43.7mm ×高さ63.6mm×奥行き19.6mm。重量:約44g(サイズ、重量ともに本体カバー含む)。価格14,080円(税込み)。