交感神経の興奮をリリースする入浴法| 夜の自律神経メンテ術③
自律神経の働きを支える良質な睡眠、その鍵を握るのは「交感神経→副交感神経」の切り替えだ。幸い、交感神経から副交感神経優位な状態へと移行する方法は多々ある。【夜の自律神経メンテ術】は仕事後〜就寝の間にできるメソッドを紹介。今回は「入浴法」。
取材・文/石飛カノ イラストレーション/岡田丈 取材協力/菅原洋平(作業療法士)
初出『Tarzan』No.821・2021年10月7日発売
心身をよき眠りに誘う入浴法
夜の入浴は本来、入眠前の最たるリラックスタイム。このタイミングで副交感神経の働きをぐっと底上げし、心身をよき眠りに誘うにはちょっとした工夫や演出が必要だ。
「実際にやってみて意味があったという声が一番多いのは、浴室の照明を消すという方法です」と作業療法士の菅原洋平さん。
浴室の照明は頭に近い位置にあるので、眠りに関するメラトニンというホルモンの分泌を抑制するリスクがある。というわけで、バスルームの環境は暗ければ暗いほど○。
「また、時間や湯温は筋肉量や水分摂取量などによって異なります。一度、自分がリラックスできる時間や温度を把握しておきましょう。そのセッティングをいつでも再現できることが重要になります。
仕上げに膝下交替浴で血管を刺激すると、朝方に血圧を上げるコルチゾールに反応しやすくなり、すっきりと目覚めることができます」(菅原洋平さん)
入浴で上がった体温が睡眠に適した体温まで下がるには約1時間かかる。就寝1時間前には入浴を終えるのがポイントだ。
① 浴室の照明を消す
バスルームの照明はオフにして脱衣所の照明をつけておく。これで視界は十分確保できる。もし抵抗がなければ、副交感神経の働きを底上げするアロマキャンドルなどを浴室に持ち込むとベター。
② 入浴時間を計る
スマホのストップウォッチをオンにしてバスルームへ。自分がリラックスできたな、というタイミングでバスタイムを終了し、かかった時間を確認する。いつもよりゆっくりメンテしたいときはそれよりも長い時間設定で。
③ 自分に合った湯温を探す
エアコンの温度設定と同様、最適な湯温は人それぞれ。交感神経の働きをムダに高めないという意味では、湯温は42度以上にしないことが目安。それ以下であれば体感として心地よいと感じる温度を自由に設定してよし。
④ 仕上げに膝下交替浴を行う
水と湯を交互に浴びる交替浴をやりたいところだが、自宅ではなかなか難しい。そこで膝下での温冷交替浴。シャワーの冷水を膝下にかけたらすかさず浴槽の湯を洗面器に汲んでかける。これを3回繰り返す。