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“スリップインするだけ™”じゃない!《スケッチャーズ スリップ・インズ》快適学。
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沿道に並ぶ給水所。ランナーはボランティアスタッフが配る使い捨てカップに入った水やスポーツドリンクを飲み干すと、道端やゴミ袋にポイ。再びレースに戻る。
従来のマラソンではありふれたこの光景が、今後はガラッと様変わりするかもしれない。来年2月に開催予定の湘南国際マラソンが、参加者にマイボトルまたはマイカップの持参を呼びかけているのだ。
「なかにはひと口しか飲まないランナーも多く、たったそれだけのためにプラスチック製のカップや、時にはペットボトルが大量に消費されています。
資源の無駄使いであることはもちろん、世界的に問題になっているプラスチックごみによる海洋汚染にもつながる。ゴミ問題は大会を運営するうえで大きな課題となっていました。特に湘南国際マラソンは前回大会で参加者2万5000人と規模が巨大なため、尚更です」
そう話すのは大会をスポンサードする〈ゴールドウイン〉の後藤太志さん。
そこで大会運営局が打ち出したのは、従来配っていた3万本以上のペットボトルや50万個以上の使い捨てカップの全廃という思い切った取り組み。レースではお約束の、ゴール後に配られるペットボトル(2万6000本)も当然なしだ。
「参加者の皆さんには満水にしたマイボトルを携帯してスタートしていただきます。途中で空になった場合に備え、500か所以上の給水ポイントを設けますので、好きなタイミングでドリンクを補充していただくことが可能です。
間隔は平均すると80mおき。混んでいる場合はすぐ先の給水所に向かえばOK。密になるのも避けられます」
今回、大会運営側がランナーに提供する水の量は約50トン。これだけの水を短時間に用意する試みは、そのまま災害発生時に被災地に水を運ぶための立派な訓練になる。
「湘南国際マラソンと沿道の自治体はこの大会を50トンの水を運ぶ年に一度の防災訓練日と位置づけました。いざというときに実働できる地域のための給水プラットフォームになれればと考えています」
今回の新しい給水システムによるCO2削減効果は約6トン。500mL入りペットボトルに使われている資源を約17万本分削減した場合と同等の効果があるという。
レースはマイボトル持参が当たり前の時代へ。今回の取り組みがマラソン界に与える影響は大きいはず。
湘南国際マラソンは湘南の海沿いを走ることから、従来より資源分別活動など環境活動に取り組んでおり、「マイボトルマラソン」の構想は以前からあったという。大会は2022年2月20日開催予定で、最終的な開催可否は12月に決定。参加料18,000円(PCR検査費用、返金補償制度費を含む)。全ランナーにマイボトル持参を呼びかけるのは世界初の試みとなる。詳細は公式ページを参照。
問い合わせ先/湘南国際マラソン事務局
TEL:0463-70-6667
取材・文/黒田創
初出『Tarzan』No.820・2021年10月7日発売