【棚橋弘至・連載】第6回:家トレもいいじゃないか。万能チューブトレ
新日本プロレス「100年に一人の逸材」棚橋弘至が綴る、大胸筋のように厚く、起立筋の溝のように深い筋肉コラム。第6回のテーマは「チューブトレーニング」について。
ホテルの部屋でいかに練習するか。
先日、アメリカ遠征から帰国。隔離期間はホテルで過ごしました。そして、ようやく2週間が経ったので、もう帰ることができます。これで、やっとジムに行けますね。
2週間の隔離生活スタート🇺🇸 pic.twitter.com/JdoSruFpFa
— 棚橋 弘至 (@tanahashi1_100) August 19, 2021
僕は年間300ワークアウトを毎年の目標にしているので、この2週間何もしないというわけにはいきません。それに、隔離期間を終えてすぐ(3日後)に新日本プロレスのメットライフドーム2連戦が待っているのです。
そう。なんとかして、コンディションを整えておかねばならなかったのです。
となると、選択肢は1つになります。「ホテルの部屋で練習をする」です。器具のない狭いスペースでどれほどのトレーニングができるのか?それが問題でした。が、買い物した後、重たいレジ袋でアームカールをしながら帰るような男・棚橋。知恵を絞り、体脂肪も絞ります。
まず、ホテルの部屋なので、自重トレが主になりますね。ヒンズースクワットや腕立て伏せ、腹筋、背筋なんかもベッドの上でできてしまいます。しかし、やはり単調ですし、種目数も限られます。
そんなときに活躍してくれるのは、ゴムチューブです。トレーニング用のゴムチューブは、スポーツ店で色んなメーカーのものが数多く売られています。その種類は豊富で、負荷の軽いものから重いものまで揃っています。
なので、購入する際はお店で、実際に引っ張ってみることをお勧めします。目的によって強度が変わってきますしね。まぁ、僕は無条件で一番負荷の重いやつを選びましたけども(ドヤ顔)。
隔離期間中のチューブトレ。
これで、準備が整いましたね。こうして、隔離期間中のゴムチューブトレーニング生活が始まりました。ゴムチューブでのトレーニングはほぼ全身を鍛えることができます。目的の部位ごとに、足で踏んで固定したり、ドアに引っ掛けたりして進めていきます。
それでは家の中でできるトレーニングの一部を紹介していきますね。
- 胸:チェストプレス、チェストフライ、クロスオーバー、インクラインプレスなど
- 背中:ラットプルダウン、ベントオーバーローイング、プルオーバー、シーティドロー
- 肩:各種レイズ系、ショルダープレス、アップライトロー
- 二頭:各種カール(ハンマーやリバース)
- 三頭:プレスダウン、エクステンション、キックバック
- 脚:スクワット、デッドリフトetc
ね? ゴムチューブは万能ですね。ジムに行くのが億劫な方も、まずはゴムチューブトレーニングから始めてみるのもありですね。
そんなチューブにも問題点はあり。
しかし、問題点もあります。そう! なかなか筋肉痛が来るまでは追い込みにくいということです。トレーニングにおいて、筋肉痛は1つの目安になります。筋肉痛が来るということは「しっかり効いていた」ということの証明でもあります。
トレーニング中級者、上級者の方なら共感していただけると思うのですが、筋肉痛が来ると「痛気持ちいい」ですよね。まぁ、僕の場合は「痛嬉しい」になりますが(笑)。
カラダを鍛えるのには、バーベルやダンベル、マシンを使ったトレーニング。ゴムチューブトレーニング。自重トレーニングがありますが、やはり、これらをバランス良くやることが大切なのです。
ウエイトトレーニングでは、最大筋力の向上。筋繊維の破壊。
ゴムチューブトレーニングでは、筋持久力。初動から終動まで、負荷が逃げないので、鍛えている筋肉を意識しやすいというメリットもあります。
自重トレーニングでは、根性。…というのは冗談で、自分のカラダをコントロールするという意味では、もっとも実戦向けのトレーニングということになります。プラス、ウエイトトレーニングで、強くなった筋肉を自分のカラダに馴染ませる意味合いもあると思います。
つまり! 僕が何を言いたいかというと。自重トレとゴムチューブトレは、散々やったから、早くウエイトトレーニングをやりたいということです(笑)。「早くバーベルを握りたい!」と、さっきからプルプルと禁断症状が出始めています。
プロレスラーに必要な能力は?
まとめると、それぞれのトレーニングにメリットがあり、競技や目標ごとに良いバランスでトレーニング種目を選んで行くことが重要だということです。プロレスラーは、見栄えも大事(筋肥大)。相手を持ち上げたり投げたりする力も必要(最大筋力)。そして、ときには30分を超える試合を闘い抜かねばなりません(筋持久力)。
あとは、若手時代にヒンズースクワットを1000回やったりする根性で、完成です!!
バランスの取れたカラダは、バランスの取れたトレーニングと!…バランスの取れた食事(一番重要)で、成り立っています。
こうして、あらためてトレーニング内容について考えることができた2週間でした。隔離生活も有意義に過ごせたのは、まさに「モテ筋肉」のおかげですね。トレーニング万歳!
次回「さらに体脂肪絞ります!」の予定です。
棚橋弘至
たなはし・ひろし/1976年生まれ。新日本プロレス所属。立命館大学法学部卒業後、1999年デビュー。低迷期にあった同団体をV字回復に導き、昨今のプロレスブームをリング内外の活動で支える。
本連載『モテ筋肉でいいじゃないか』は毎月・第2金曜日に公開予定。次回は、2021年10月8日に公開予定です。