CONDITIONING
2021.10.08

骨盤と背骨はなぜ歪む?:コンディショニングのひみつ vol.8

トレーニングをしていると耳にする「コンディショニング」という言葉を、詳しく紐解いていく「コンディショニングのひみつ」連載。第8回は「左右の骨盤の高さ」に原因がある姿勢の歪みについて。

コンディショニングのひみつ

日常動作の癖が招く左右バランスを整える。

今回は前額面(カラダを前後に分ける面)の不良姿勢を学ぼう。前額面から見た際の不良姿勢の一つが、脊柱の側弯。専門的には「脊柱側弯症」といい、胸から腰にかけての脊柱が“くの字”あるいは“逆・くの字”のように左右どちらかに弯曲している状態を指す。

エックス線写真で弯曲の角度が10度以上である場合を側弯症とするため、自己判断は難しい。とはいえそのままの状態を放置すると、腰の痛みや凝り、脊髄障害による神経症状、肺活量の減少や息切れなどの呼吸異常が起こる可能性があるため、改善が必要になる。

鏡を見て骨盤や肩の高さの極端なアンバランスを感じたら、一度専門医で診てもらうことが大切だ。

脊柱側弯症は大きく分けて「構築性脊柱側弯症」と「非構築性脊柱側弯症」の2種類がある。構築性脊柱側弯症は骨そのものの構造的な異常を指し、自分で改善するのは難しいため、前述の通り一度専門医へ行くのが望ましい

一方で非構築性脊柱側弯症は、普段の座り方や日常生活内の動作の癖により、筋や筋膜のバランスが崩れることで起こる弯曲のこと。左右どちらかの筋肉が硬直、あるいは弱化し、骨盤の高さと脚の長さに左右差が生じるケースが多い。すぐに大きな障害につながることは少ないものの、見た目のアンバランスのほかにも、腰痛やO脚などを招く恐れがある。

今回はそんな非構築性脊柱側弯症にフォーカスし、アプローチを考えていく。まず、下のイラストを見てみよう。

コンディショニングのひみつ
骨盤の左右差を招く筋バランス。左の骨盤が高い場合は、左の腰方形筋、右の中臀筋、左の内転筋が硬化し、対角の筋肉が弱化している。

これは〝逆・くの字〟のように脊柱が右に弯曲している状態だ。硬化している筋肉は、自分から見て、

  • 左の腰方形筋
  • 右の中臀筋
  • 左の内転筋

反対に弱化している筋肉は、

  • 右の腰方形筋
  • 左の中臀筋
  • 右の内転筋

このように筋のアンバランスが起こると、硬化した筋肉が骨盤を引っ張り、左右の高さに差が生じるというわけだ。この硬化と弱化のバランスさえ把握できれば、あとは硬化した筋肉をストレッチやセルフマッサージで緩め、弱化した筋肉を鍛えるアプローチをするのみ。もしも左右が逆の場合は、入れ替えて行おう。

エクササイズ例

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コンディショニングのひみつ

腰方形筋のストレッチ。椅子に座り、伸ばしたい側と逆の座面に両手をついて、背中を丸める。30秒×10回。

コンディショニングのひみつ

中臀筋の筋トレ。鍛えたい側のお尻が上に来るよう横向きに寝る。上の脚を伸ばしたまま開く。10回×3セット。

左右の筋バランスが崩れる原因は脚組み横座り片脚荷重同じ方向で横向き寝などが考えられるため、これらの体勢をとらない意識を持つことも改善策の一つになる。

さらに、日常動作ではあまり使われず、筋力が衰えやすい内腿を鍛えるというアプローチも有効だ。椅子に(床の場合は膝を立てて)座った状態で、両膝の間に畳んだタオルを挟む。それを潰すように、膝を内側にギュッと押し込むと内腿を鍛えることができる。

両内腿をバランスよく鍛えたら、次に姿勢から左右の筋バランスをチェックし、硬化している側の内腿を念入りにストレッチ。腰部と臀部へのアプローチと合わせて内腿の筋肉をニュートラルに保つことで、骨盤の左右バランスが整っていく。


復習クイズ

コンディショニングのひみつ

答え:「胸のストレッチ」がNG。

取材・文/黒澤祐美 漫画/コルシカ 監修/齊藤邦秀(ウェルネススポーツ代表)

初出『Tarzan』No.815・2021年7月21日発売

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