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糖尿病になると、カラダはこう変わる【イチから学ぶ血糖値⑦】
高くなっても痛くもかゆくもない血糖値。けれど放置すると、やがて体内は大変なことに。日本人に多い糖尿病の予防のためにも、正しく血糖値を知り、上げ過ぎない方法を知ろう。今回のギモンは、糖尿病になった場合のカラダの変化について。
糖尿病まで行き着くと一体どうなるの?
A. 毛細血管の密集する箇所からカラダの破綻が進行します。
高血糖状態の放置から糖尿病を発症するとカラダに何が起きるか?
「AGE(終末糖化産物)の蓄積で、早い段階から合併症に発展しがちなのは、毛細血管が糸車のように密集している眼底や腎臓、脳、あるいは足先などの神経組織もそうです」(かたやま内科クリニック院長・片山隆司先生)
このため糖尿病だけでなく認知症や心筋梗塞、脳梗塞などの重大疾患を招きかねない。また、糖尿病が進行すると、眼底出血から失明のリスクも生じるし、腎障害から人工透析が必要になる人も現れる。手足の神経障害が重くなり、壊疽を起こし、手足の切断に至るケースもある。

「糖尿病に限らず、メタボリックシンドロームに陥っている患者さんの体内では慢性炎症が起こっていて、毛細血管だけでなく太い血管にも動脈硬化が進行し、血液が詰まりやすい状態になっています」
ということは、血管が詰まりやすいという新型コロナウイルス感染症に対しては、守りが手薄になっていることが十分に予想される。
「糖尿病だからといって、新型コロナウイルスに感染しやすいというわけではありません。ただ、糖尿病の患者さんは感染すると健常者に比べ約3倍の確率で重症化するという報告があります。ご用心ください」
取材・文/廣松正浩 イラストレーション/しりあがり寿 取材協力・監修/片山隆司(かたやま内科クリニック院長、日本糖尿病学会専門医、医学博士)
参考文献/『名医が教える! 血糖値コントロール27の新常識!』(片山隆司監修/笠倉出版社)
初出『Tarzan』No.804・2021年2月10日発売