漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。いよいよ本格化してきました、花粉症シーズンです。今回は症状が出ないときも取り組むべき体質改善漢方薬の紹介です。
免疫系の暴走が花粉症を引き起こす!?
花粉症は「免疫系の暴走」と表現されることがしばしばあります。これを受けてか「免疫力を高める漢方薬は困る!」という声をたまにいただくのですが、大きな誤解です。
確かに免疫力を高めるという表現を私たちも使うことはあるのですが、ここでいう「高める」とはむやみに免疫反応を敏感で強大にしていくことではありません。
漢方が目指す健康は中庸(ちゅうよう)と言って、陰と陽(マイナスとプラス)のバランスがとれた状態にあることです。
花粉やほこり、ウイルス、菌といった刺激に対して敏感すぎず鈍感すぎず、強すぎず弱すぎない、適切な応答をしていけるカラダを理想とします。
さて、この花粉など外からやってくる悪者に対して人はバリア機能を持っています。このバリア機能は健全な胃腸の働きのもとに生み出され、さらに「潤い」で補強されます。要するに、潤い不足と消化器系虚弱または消化器系トラブルのある方は花粉症ハイリスク(!)ということが言えます。
また、花粉症の鼻炎症状などは水分代謝の異常と捉えることができますが、偏りのない巡らせ方が大事です。体表にはしっかり潤いが欲しいのですが、バリアを生み出す胃腸は水分が苦手。中はカラッと、表面はしっとりがいいですね。
タイプ別・体質改善が期待できる3種の漢方薬。
① 暑がりで鼻水が濃いタイプ
大事な潤いバリアが熱によって奪われている、消化器に熱がこもって胃炎や食道炎を起こしやすい体質の方です。熱を取る黄連解毒湯(おうれんげどくとう)、さらに便秘がある場合は防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)がおすすめです。
② サラサラ鼻水、浮腫みやすいタイプ
水のさばき方が下手な体質です。余計な水分の排出と適正な分布を助ける五苓散(ごれいさん)、婦人科系のトラブルがある場合は当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)もいいでしょう。
③下痢しやすい、虚弱タイプ
疲れやすかったり寝汗をかいたり、あるべき場所に必要な水分をとどめておく力のない体質の方です。胃腸を元気にする補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、冷えや冷たい食事が下痢につながりやすい場合は胃苓湯(いれいとう)も選択肢です。
体質に合わせて取り入れてみてください。
INFORMATION
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