漢方医学的視点からカラダづくりを応援する、漢方薬店kampo’s(カンポーズ)薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
二月も半ばになりました。毎日の天気予報にも花粉の飛散情報が出てくるようになり、花粉症本格シーズンの気配が濃くなっていますね。
皆さまはいかがですか? 花粉症。どこ吹く風の方もいらっしゃれば、このシーズンはもう家から一歩も出たくない方もいらっしゃるでしょう。
漢方薬は鼻水の症状に合わせて変えていく。
今回はねばねばした黄色または緑色の濃い鼻水が詰まって苦しい方向けの漢方薬をご紹介します。こうした鼻水が特徴の方は、体にこもった熱を取ってあげると症状が和らぎます。
ご紹介するのは辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)、荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)、十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)の三処方です。
① 辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)
辛夷(しんい)は生薬のひとつで、辛味があり、鼻の通りを良くする作用があります。清肺(せいはい)とは肺(漢方では呼吸器系全体をさします)の熱をさますという意味で、この処方は主に熱を取り去る生薬で構成されています。
潤して熱を取るのを助ける作用がありますので、鼻腔が乾燥する傾向にある方には特におすすめです。
② 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)は「気の流れを整えながら、首から上の炎症を取る」というのが得意です。
気の流れが滞ったカラダの特徴として、手のひらや足の裏に汗をかきやすい、腹直筋が緊張している、などが挙げられます。手のひら・足の裏の汗や腹直筋なんて、花粉症とは一見何の関係もないように思えますが、これが漢方の面白いところでもあります。
ねばねばした黄~緑色の鼻水で、これが喉に落ちてくる「後鼻漏」になりやすい方にも向いています。首から上の炎症ですから、目や顔の皮膚が痒くなりやすい、ニキビが出やすいなどもこの荊芥連翹湯のカバー範囲です。
③ 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
十種類の生薬から構成されており、カラダにたまった毒素をやっつけようという名前のお薬です。膿んでいる皮膚症状に用いるのが一般的ですが、詰まった鼻が「化膿して匂う!」と感じる場合にはこれも有効です。
カラダの中でめぐりが悪く熱を持ってしまった水が膿になると漢方では考えます。この膿をさばくためのお薬なので、湿疹などジュクジュクした皮膚症状が出やすい方は十味敗毒湯をためしてみてください。
いかがでしょうか? どれか体質に合いそうな処方は見つかったでしょうか? 冷ましたほうがいいのか、それとも温めるのか。花粉症以外に併発しているカラダの不調はないか。水分代謝が悪くなるのは水のせいか、はたまた気の流れのせいなのか。
人によって問題解決へのアプローチは様々です。次回は体質改善を考えた花粉症対策、いってみましょう!
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