漢方医学的視点からカラダづくりを応援する「漢方薬店kampo’s(カンポーズ)」薬剤師・薬学博士の鹿島絵里です。
良質な睡眠をサポートする三大漢方薬。
睡眠が健康の重要な要素なのはよく分かっていても、質を高めようとしながらうまくいかないとき、ありますよね。不眠には精神的な問題がもっとも大きく関係していると言われており、入眠が困難なタイプか熟睡ができないタイプかに分けられます。
両方という場合もあるかもしれません。いずれにせよカラダを眠るモードに変換できなくなっている状態です。不眠に用いる漢方薬も体質に合わせてたくさん(ざっと20種類ほど!)あるのですが、今回はその中から柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)、酸棗仁湯(さんそうにんとう)、温経湯(うんけいとう)の3処方をピックアップしてご紹介いたします。
ストレスが原因で眠れない夜には「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅこつぼれいとう)」を。
「明らかにストレスが原因! イライラして眠れない!!」という方向けです。胸のあたりが苦しくなる時がある、ときに動悸がする、夢を多く見る、便秘傾向(お腹のゆるい方には向きません)などの症状がこの漢方薬を選ぶ目安になります。
心とカラダの疲れに働きかける「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」。
2つ目は「心身ともに疲れてしまった…」という方に。先の柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)に比べると、こちらは体力がやや落ちている方に向いています。寝汗をかいたり、些細なことが気になる傾向がある方です。
女性におすすめの「温経湯(うんけいとう)」。
最後の温経湯(うんけいとう。「おんけいとう」とは読みません)はなんらかの婦人科系トラブルを抱える女性にぴったり合うことが多いです。生理不順や月経痛が普段からある、その他、手足が冷える、または逆に手足がほてる場合にも。足がほてって眠れないというのも、温経湯が合う症状のひとつです。
トレーニング前にも服用OKの漢方薬を上手に取り入れよう。
「睡眠の質はよくしたいけれど、薬を使うのはどうもなぁ」と躊躇われる方は、ぬるめのお風呂につかる、夜はブルーライトを発するものを絶対に見ない、自分の眠りやすい体位を探す(シムスの体位は妊婦ならずともおすすめ!)、腹式呼吸で副交感神経優位にするなど、まずはしっかり対策を。
それでも良くならない場合、漢方薬の活用も検討してみて下さい。習慣性もなく運転前でも服用することができ、なにより体質で選ぶわけですから「不眠」という不調のサインを発する自分のカラダを見つめなおすいいきっかけになります。自分が本来持っている眠る力を整えて、忙しい年末も健やか前向きに過ごしたいですね。