加齢や日頃の不摂生で骨質が劣化していると、ふいの転倒で骨折、なんてことも起こりかねない。骨そのものの強化も重要だが、そもそも転ばないためのエクササイズも必要だ。ということで「骨活トレーニング」第2弾は、転倒防止のために「神経系」を鍛えるエクササイズ。
第1弾「関節と骨を強化するエクササイズ」はこちら!
どんなエクササイズがいい?
保険をかける方法は2つの角度から攻めるエクササイズで。まずはバランス能力を磨く。そして、筋肉と中枢神経を繫ぐ運動神経や感覚神経の連携を高めるのだ。両輪が嚙み合えば、たとえ躓いてもコケても修正できる能力が身につく。
日常生活は予期せぬ出来事の連続だ。いわゆる筋トレのような直線的なエクササイズだけでは対応することができない。だからこそ、こうした“転ばぬ先の杖”的な能力が必要不可欠。
どうエクササイズすればいい?
まずは下の「① イージーな動き」からスタート。楽にできるようになったら「② ハードな動き」に挑戦してみてほしい。
イージーな動き。
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インラインバランス(左右各10秒)

両手を腰に当てて左右の足を一直線上にして10秒間キープする。右足の爪先をまっすぐ前に向け、左足の爪先を右足の踵にぴったりくっつける。逆も同様に。最初は目を開けて行い、クリアできるようになったら目を閉じて。
インラインウォーキング(10歩×2セット)

両手を腰に当て、インラインバランスのように爪先に踵を交互にくっつけながら、まっすぐ一直線に歩く。別名「継ぎ足歩行」と呼ばれる転倒防止のためのバランス訓練。まっすぐサクサク10歩歩けたらクリア。
サイドレッグスイング(左右各10往復×2セット)

右脚を軸脚にして片脚立ちになり、両手を右方向に振りながら、左脚を外側に振り出し、今度は両手を左方向に振りながら左脚を内側に。上半身と下半身を逆振りで左右に大きく動かして神経系を鍛錬。もちろん逆脚軸でも。
エア障害物またぎ(左右各10回×2セット)

目の前に膝の高さのロープがあるつもりで行う。片脚を引き上げてロープをまたぎ、1歩前で踵着地。再びロープをまたいで元の位置に戻ったら、逆脚でロープをまたぐ。ロープに引っかからないよう神経を研ぎ澄ませよう。
ハードな動き。
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インラインランジ(左右各10回×2セット)

インラインのポジションでバランスをとりながら、大腿四頭筋に刺激を入れていく。両足を前後に開き軽く膝を曲げる。両手は側頭部に添え、後ろの足は爪先立ちに。そのまま腰を落として前足の踵に膝をくっつける。
インライン・ヒンジ(左右各10回×2セット)

今度はインラインのポジションで大臀筋に刺激を入れる。両足を前後に開き、両手を側頭部に添える。後ろの足は爪先立ち。軽く膝を曲げ、上体が床と平行になるまで股関節を屈曲させる。不安定な姿勢で股関節を畳む練習。
ドロップステップスクワット(10回×2セット)

両足を腰幅に開いて立つ。まず左足を斜め45度開きながら腰を落としてスクワット。再び腰を落として足を戻して元の姿勢に。これで1回。今度は右足を斜め45度に開いてスクワット。立体的な動きで神経系を刺激。
ターン・ジャンプスクワット(10回×2セット)

両足を腰幅に開いて立つ。いったん腰を落としてジャンプしながら45度左側に回転して着地。再びジャンプして右回転したら元の姿勢に。これで1回。今度は右方向に45度回転。神経系を鍛えつつ着地刺激で骨強化にもなる。
そもそも転ばないために、エクササイズ!
子どもは転んでもすぐに立ち上がり、何事もなかったように駆け出していく。大人は転んだらうずくまり、なかなか立ち上がれないうえに運が悪ければ骨折をしてしまう。子どもは骨のモデリング(構築)が着々と行われていて、大人は骨のリモデリング(再構築)のスピードが少々鈍っているからだ。
ならば、骨や関節を強化すると同時に、転ばないよう保険をかければよい。もちろん、自分のカラダを動かすことでだ。
取材・文/石飛カノ 撮影/小川朋央 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 監修/澤木一貴(SAWAKI GYM)
初出『Tarzan』No.799・2020年11月5日発売