運動なしで痩せる?|「噂のダイエット」の真偽をただす!
巷にあふれる夢のようなダイエット・メソッド。それ、本当に信頼に足るものだろうか? ここはひとつ信頼できるスペシャリスト、フィジカルトレーナーの坂詰真二さんと管理栄養士の貴堂明世さんに検証してもらうことにしよう。今回は、「運動なしで痩せる」の真偽をただす!
取材・文/黒田創 イラストレーション/ホセ・フランキー
初出『Tarzan』No.795・2020年9月10日発売
煽り文句としては最強レベル。ある意味トレーナーへの挑戦状だ。
華やかなランウェイを颯爽と歩く高身長のファッションモデル。筋トレブームの昨今、彼らの多くは普段からバッキバキに鍛えているわけだが、たまに「私、昔から全然運動しないんです。食事に少し気を使っているだけで、ストレスを溜めないことが一番のダイエットかな」なんてシレッと発言する人もいる。
それって、もともと太りにくい体質なんじゃ…? と訝しがりつつも、その一端でも真似できればと知りたくなる。そうして生み出されるのが「運動しないダイエット」メソッドである。
はてさて、どこまで信用していいものか。坂詰さんと貴堂さんにメソッド本を読んでもらい、率直な感想を伺った。
「痩せる=やつれる」じゃない。
「この手のメソッドも言葉で釣る傾向が強いですね。でも運動の必要がないなら僕たちトレーナーは不要って話になってしまう(笑)。痩せるとは筋肉など必要な部分を残して体脂肪だけを減らすこと。筋肉や水分などが減ることをやつれるといいます。「痩せる」と「やつれる」を混同してはいけません。また運動せずにマッサージをおすすめしていたりしますけど、体脂肪は押しても揉んでも減りません。筋肉量を減らさないことが大切です」(坂詰さん)
実は運動している可能性も。
「理論的に運動なしで痩せるとは考えられませんが、この手のメソッドはファッションモデルが監修するケースが多いのがポイント。職業柄もともと自己管理ができていますし、基本的に小食という可能性も。それを一般の方が真似しても三日坊主になる可能性大です。運動しないと言ってもモデルさんはハイヒールを履いて美しい姿勢で立ったり、普段からよく歩くなど無意識のうちに運動しています。額面通りに受け取らない方がいいです」(貴堂さん)
「長きにわたり医学的根拠を追求し、最新の運動理論を学んできたので、軽いノリで流行るダイエット法には警鐘を鳴らしたい思いが昔からあります。特に昨今、詐欺まがいの広告などから間違った情報がSNSで拡散するケースが多いので注意深くチェックします!」(坂詰さん)
「栄養学の基本をおろそかにした食べ方や“摂るだけダイエット”は長続きしないし、やり方次第では健康被害をもたらします」(貴堂さん)
痩せようとしてカラダを壊しちゃ元も子もない。飛びつく前に、一度は冷静になるのが正解。