さあ、YouTubeで痩せよう!?|「噂のダイエット」の真偽をただす!
巷にあふれる夢のようなダイエット・メソッド。それ、本当に信頼に足るものだろうか? ここはひとつ信頼できるスペシャリスト、フィジカルトレーナーの坂詰真二さんと管理栄養士の貴堂明世さんに検証してもらうことにしよう。今回は、ダイエット動画を真偽をただす!
取材・文/黒田創 イラストレーション/ホセ・フランキー
初出『Tarzan』No.795・2020年9月10日発売
再生数目的の「映え」が重視される動画の世界。それでいいの?
今年春からの自粛期間中に一気に増えた感のあるトレーニングやダイエット系YouTube。トレーナーはもちろん芸能人やスポーツ選手、コンテスト常連のトレーニー、この人何者? という一般人までこぞってユーチューバーとなり、日夜続々と動画をアップしている。
それらを見ているともちろん基本に忠実なトレーニングメソッドもあるが、再生回数が多いのは有名ユーチューバーが出ていたり、タレントがハードなトレーニングをしていたりと、出演者のキャラクターが人気動画のバロメーターになっている傾向がある。必然的に見栄えが重視されるようになるのだ。
そうした状況で「ユーチューブで痩せる」人が増えているのを坂詰さんと貴堂さんはどう捉えているのだろうか?
その動画に根拠はありますか?
「筋トレ系YouTubeに多い派手で高強度の動き。確かに筋肉がつけば代謝が上がって痩せやすくなるのは事実。アクロバチックで高強度な運動は若い視聴者のモチベーションを上げる要素があるかもしれません。
ただし、多くは自己流です。生理学や解剖学等を踏まえている方法はほぼ存在しませんし、潜むケガのリスクや効率性などを考慮していない。YouTubeは見て楽しむのが基本。実践するのは『楽しそう』ではなくプロが監修した根拠に基づくものにするべきです」(坂詰さん)
動画は玉石混淆。真偽を見極めて。
「短期間に痩せたいのか、健康を追求する過程で長期的に痩せたいのか、目的によりダイエット法は異なります。ダイエット系YouTuberは短期タイプでビルダー体型が多い印象がありますが、長期的視点で痩せたい人がそれを真似してもちょっと難しいのかなと。
またネットには真偽が定かではなかったり、不適切な情報が多いのも事実です。それらの拡散を防ぐシステムも多少ありますが、何より受け手が情報の信憑性を正しく判断することが必要だと思います」(貴堂さん)
「長きにわたり医学的根拠を追求し、最新の運動理論を学んできたので、軽いノリで流行るダイエット法には警鐘を鳴らしたい思いが昔からあります。特に昨今、詐欺まがいの広告などから間違った情報がSNSで拡散するケースが多いので注意深くチェックします!」(坂詰さん)
「栄養学の基本をおろそかにした食べ方や“摂るだけダイエット”は長続きしないし、やり方次第では健康被害をもたらします」(貴堂さん)
痩せようとしてカラダを壊しちゃ元も子もない。飛びつく前に、一度は冷静になるのが正解。