お馴染み、NHK『みんなで筋肉体操』。8月24日〜27日、この番組に初めてパラアスリートが登場した。パラカヌーの瀬立モニカ、陸上競技の井谷俊介、パラテコンドーの太田渉子、パワーリフティングの樋口健太郎。いずれも東京パラリンピックを目指す猛者ばかりだ。
この収録現場にお邪魔し、選手たちのデモンストレーションに密着した。
筋トレの“ユニバーサルデザイン”。
パラアスリートは、障害に応じてトレーニングも創意工夫する。その姿に番組スタッフが感銘を受けて、出演が実現。
「車いすや義足を使用するなど、障害は多種多様。それでも工夫次第で、誰でも等しく高い強度のトレーニングができることを、パラアスリートたちに実践してもらいました」
そう語るのは、指導する谷本道哉氏。まさに“筋トレのユニバーサルデザイン”である。
例えば、腕立て伏せでは、日常的に車いすを使用する瀬立は、下半身を床につけたまま上半身だけで行う。注目すべきは、漫画雑誌で高さを追加していること。厚さ3cm程度だが、これが大きな負荷になる。
「3cm深く胸を下ろす。追い込み感がハンパないです」(井谷)
「TRXを使って不安定な状態で腕立てをするなど、水上のカヌーを想定して応用させたら、さらに効きそう!」(瀬立)
鍛えたい腕をもう片方の腕で負荷をかける“徒手抵抗”による肩まわりのトレーニングは、選手たちも初めての挑戦。
「最初から最後まで負荷をかけられるのは、新鮮!」(瀬立)
義足では、不安定になりがちなスプリットスクワットは、
「難しい挑戦でしたが、インターバルやピッチを変えるだけで、強度をコントロールできることを実感しました」(井谷)
筋肉は、皆が追い込める。
ユニバーサルな筋トレを体験し、今後にどう生かす?
「トレーニングによっては車いすではできないという先入観があったけれども、工夫すればできるものがある。新たな筋トレに挑戦したいです」(瀬立)
「自宅でも遠征先でもできる。24時間を有効活用していきたいと思います」(井谷)
どのトレーニングも、負荷を軽減する方法が提示された。障害の有無にかかわらず、筋肉を追い込める。「きついけど、めっちゃ楽しい!」という選手たちの言葉に実感がこもる。再放送を利用して、パラアスリートと同じトレーニングにぜひ、挑戦してほしい。