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草野球好きにはたまらないギア情報が飛び込んできた。なんと「史上初の空気を入れて飛ばせる軟式用バット」である。早速その《レガートゼロ》なるバットをアシックスより借りて試すことにした。
現物を見ると、外見上は普通のバットである。しかし芯のあたりを握るとベコッとへこむ。その先に自転車のタイヤのごとく空気の注入口があり、自分のスイングスピードやパワーに応じてエアを入れ、硬度を調整することが可能なのだ。
なぜこうしたバットを作ったか。軟式用バットの素材はさまざまな種類があるが、従来の素材以外で飛ぶバットが作れないか?と開発担当者は考えた。そこでアシックスが誇るスポーツ工学研究所で実験したところ、打球部に空気を使用すると飛びにつながることが判明した。
野球の軟式球は変形するとエネルギーをロスして打球が伸びにくくなるため、近年はボールの変形を抑えるべく打球部にウレタンを使ったバットが多い。しかし空気圧はそれ以上にエネルギーロスが少ない。
そこで「空気といえばボールメーカーだ!」と世界的なボールメーカーであるミカサとタッグを組み、強い衝撃にも耐えうる“空気素材の軟式バット”を開発するに至ったという。
バットは2.5~3.5気圧の間で空気圧調整が可能だが、推奨気圧は2.9~3.1。圧を調整できる空気入れを3.0気圧に設定し、空気を入れてみた。ベコベコの部分はみるみるうちに硬化していく。
一般的な複合バットと同様に、硬めの軟球が使われているバッティングセンターだと耐久性が損なわれる恐れがある、ということなので、草野球で試すことにした。投球を捉える。すると「カキーン!」でも「カーン!」でもなく「バシュッ!」という破裂音のような音がする(もちろんバットは破裂しないし空気も抜けない)。
この時はバットの先端で打ったのだが、普段の金属バットなら外野フライかな?という打球が思った以上に伸び、外野の間を抜けていく。確かに飛び方が違う…。
次はバットの真芯で捉えたライナー性の打球。これも自分とは思えないほど打球が速い! 感覚的には1.5倍増しな感じだ。スイング速度が速くパワーがある人なら、気圧を3.3や3.5に設定すれば軽く振ってもフェンス越え(特に速い球を捉えた場合)するのではないか。これはまさにバットの革命。少し値段は張るが、草野球の三冠王を目指す向きには試す価値ある一本だ。
取材・文/黒田 創 イラストレーション/羽鳥好美
初出『Tarzan』No.794・2020年8月27日発売