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野球がもっとうまくなりたいなら、この筋トレ【競技別・筋力アップ術①】
筋トレ=筋肥大ではありません。競技ごとに必要な身体能力をアップさせるための筋トレもあるんです。
通常の筋トレではスポーツに逆効果になる。
競技によって配分は違ってくるが、スポーツに必要な身体能力は筋力、持久力、柔軟性の3つ。筋トレによって3要素のひとつを養えば、ただ練習を繰り返すよりも何倍ものパフォーマンスアップが望める。ただし、理解しておいてほしいのは、通常の筋トレでは逆効果になるということ。
筋肥大狙いの筋トレは、特定の筋肉にいかに効かせるかという内向きのベクトルの動作。一方のスポーツは反動などを使った外向きのベクトルの動作。また、筋肥大トレは動作の終わり部分を重視するのに対して、スポーツは動き始めの初動が命。つまり真逆。なので、それぞれのスポーツに適した筋トレを取り入れることが非常に重要。
共通エクササイズ(10回×3セット)
まずは、基本の体幹と下半身を鍛える3つの共通エクササイズ。これにジャンル別のおすすめ筋トレを加え、スポーツパフォーマンスを高めてほしい。
① ワンレッグ・スクワット
- 椅子の背を片手で摑んでカラダを安定させ、片脚立ちになる。反対側の手は前方にまっすぐ伸ばす。
- 軸脚の膝と股関節を曲げて腰を落とす。軸脚の角度は最低でも90度になるように。
② バックステップ・ランジ
- 両足を肩幅に開いて立ち、両手を頭の後ろで組む。
- 片足を大きく1歩後ろに引いて拇趾球で着地すると同時に両膝を直角に曲げて腰を落とす。
- 後ろ脚の大腿四頭筋を伸ばしつつ負荷をかける。
③ ツイスティング・マウンテンクライマー
- 最後はプランク系の体幹トレ。プッシュアップの姿勢をとる。
- 肩、背中、股関節、くるぶしまでを一直線に保ったまま、腰を捻りつつ片脚の膝を曲げて胸に引きつける。
- 左右交互に繰り返し。
投げる系のトレーニング(10回×3セット)
野球の投球動作、テニスのストローク動作、バレーのスパイク動作。すべてはテイクバックの際の背中、とくに肩甲骨まわりの動きが要となる。
両手を腰に当てて肘を真正面に向けて突き出す、あの大谷翔平の異次元の動きは肩甲骨の柔軟性がなせる業。カラダの中で最も自由度の高い肩関節の動きは、肩甲骨の柔軟性によって担保されているのだ。
球速が上がらず相手のバッターにガンガン打たれるのも、ストローク戦で押し負けるのも、ここぞというときスパイクが決まらないのも、肩甲骨の動きがいまひとつだから。
というわけで、投げる(打つ)系スポーツのみなさんの課題は、瞬発系プッシュアップや捻り動作のランジで肩甲骨まわりを徹底的に刺激すること。また、野球、テニス、バレーなどの競技では、攻めるだけではなく守りの姿勢も非常に重要。
腰を屈めた姿勢をキープしながら背中の筋肉を動かして、相手の攻撃にいつでも反応できるように構える。これは狩りの直前の猫科動物の構え。この姿勢をキープするのは意外とキツい。なので、ウェイトを使ったベントオーバーロウで背中の筋肉を強化することをおすすめする。
① プッシュアップwithジャンプ
- 両手を肩幅より広めに開いてプッシュアップの姿勢をとる。
- まず通常通りに胸を床に近づけた後、両手で床を押す。
- その反動で上体を床から引き上げて両手で拍手。肩甲骨と胸郭を連動させてリズミカルに行う。
② ベントオーバーロウ
- 親指を立てたままダンベルを両手で持ち、床と平行になるまで上体を前傾させて膝を深く曲げる。
- 肘を伸ばしてダンベルを下に垂らした姿勢から肘を曲げて背中側に引き上げる。このとき背中を丸めずにまっすぐキープすること。
③ ツイスティング・ランジ
- ウェイトプレートをカラダの前で両手で持つ。
- 片足を大きく1歩前に踏み出しながら、プレートを前方にまっすぐ突き出す。後ろ足の踵は床から引き上げる。
- 次に上体をプレートごと90度捻る。左右交互に繰り返し。
取材・文/石飛カノ 撮影/山城健朗 スタイリスト/山内省吾 ヘア&メイク/天野誠吾 イラストレーション/うえむらのぶこ 取材協力/白戸拓也(フージャース ウェルネス&スポーツ)
初出『Tarzan』No.785・2020年4月9日発売