3大筋トレ・スクワットの絶対条件は「3大関節」の可動域!

スクワットで結果を出すならば、「脊柱」「股関節」「足首」の関節の可動性は無視できない!

取材・文/石飛カノ イラストレーション/野村憲司、今牧良治(共にトキア企画) 取材協力/吉原潔(アレックス脊椎クリニック)

初出『Tarzan』No.790・2020年6月25日発売

① 頭と骨盤を繫いでいる「脊柱」は、椎骨と呼ばれる24個の骨が積み木のように重なって構成されている。

24個の椎骨の内訳は、7つの頸椎、12個の胸椎、5つの腰椎。このひとつひとつの椎骨の繫ぎ目が、関節となる。

他の関節のように独立して機能するのではなく、24個の椎骨を連動させて曲げたり伸ばしたりすることで体幹の動きが成り立っているというわけ。

脊柱の動きを調整しているのは、それを寄ってたかって支持している最長筋、多裂筋、脊柱起立筋といった大小さまざまな筋肉。フッキンの際はこれらの筋肉が伸展、腹筋が収縮することで上体を滑らかに起こせる。

また、スクワットでは腰椎が伸展することで上体の姿勢を維持できる。しなやかな脊柱は、必携。

② スクワット効果は「股関節」の屈曲ありき。

四足歩行から二足歩行になった時点で、ヒトの股関節は体重支持という機能を若干損なった。その代わりに推進力という機能を手に入れた。ちょっと不安定だけど、グングン歩いたり走ったりして移動できるようになったわけだ。

股関節は肩関節の次に可動性が高く、あらゆる方向に動かせる。ただし、「よく動く」ということと「ケガのリスク」はいってみれば比例関係。掃除はすべてAIロボにおまかせ、日常生活では滅多に屈まないという人は股関節が錆びついている可能性がある。スクワット時、お尻を後ろに引けずに膝が前に出てしまっているかも。これつまり、下半身の筋肉に効かせられず、膝に余計な負担がかかっているということ。

③ 深いスクワットには「足首」の柔軟性がマスト。

地面に接地しているのが「フット(足)」、股関節からまっすぐに延び、体重を支持しているのが「レッグ(脚)」だ。

一般的に足関節というと、このフットとレッグのジョイント部のこと。正確には足首の奥にある距骨と膝下の脛骨、腓骨の繫ぎ目のことで、これを距腿関節という。

距骨という骨は筋肉や靱帯で支持されていないというのが最大の特徴。このため、足首を曲げるとき、距骨は後ろ側にスライドしていく仕組みになっている。足関節が硬いという人は、この動きがスムーズにできないということ。

ヤンキー座りをしようとすると後ろに転倒する、和式トイレで用を足せない。こういう人はもちろん、スクワットで十分に屈めやしない。