筋トレでケガをする理由。
筋トレはスポーツに比べると、ケガをする確率が低い。反動を一切殺すという生物として極めて非合理的な動きなので、カラダに予想外の負荷がかかりにくいからだ。
でも、下に示したような理由で、肩、膝、腰、手首などを痛める可能性も決して少なくない。
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正しいフォームで行えていない
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柔軟性が足りない
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普段の姿勢が悪い
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筋バランスが悪い
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重さにこだわりすぎ
柔軟性や姿勢が悪いと正確なフォームが再現できず、特定の部位にストレスがかかる。前後左右の筋バランスが悪いと肉離れしやすい。自分には重すぎる負荷をかけると、手首などを痛める原因にもなる。
ケガをしやすいトレーニング・ワースト3。
とくにケガをしやすい筋トレ種目は、ベンチプレス、バックスクワット、アームカール。いずれもウェイトを扱う種目で、過剰な負荷や不正確なフォームがケガを引き起こす原因に。ケガの予防に、すでにケガを経験した人は再び同じ過ちを犯さないための対策を。
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ベンチプレス(柔軟不足により肩を痛めがち)
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バックスクワット(上体が前傾するため腰・膝を痛めがち)
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アームカール(負荷が重すぎると上腕二頭筋を痛めがち)
筋トレ前は必ずストレッチと姿勢のリセットを。
男子がこよなく愛するベンチプレスでケガをするのは、肩まわりの柔軟性が乏しいから。肩の可動域が狭いので胸ギリギリまでバーベルのシャフトを下ろすとき、胸椎が硬い筋肉に引っ張られてグキッとなる。ハムやお尻の深層筋が硬いとバックスクワットで重心が前に傾き、腰がイカれる。こうしたケガを防ぐために、筋トレ前はダイナミックストレッチで各筋肉をほぐしておく。
また、デスクワークで固まった姿勢のまま筋トレに取り組むと、正しいフォームがとれないので肩や腰に余計な負荷がかかる。筋トレ前にフォームローラーを使って姿勢をリセットすること。
ちなみに筋トレ時にも注意。筋バランスが崩れないよう表ばかりを鍛えず裏もみっちり鍛錬すべし。
固まった筋肉をほぐすダイナミックストレッチ。
① 肩甲骨まわりのストレッチ
まっすぐに立ち、両手の拳を軽く握る。肘を90度に曲げて片手を上、反対側の手を下側に捻る。前者は肩関節の外旋、後者は内旋運動。リズミカルに交互に10回繰り返し。
② ハムストリングスのストレッチ
左右の足で一歩ずつ前進するごとに上体を前傾させ、前足の爪先を引き上げて手で爪先にタッチ。太腿の裏側を歩きながらほぐす。10歩ヨチヨチ進んでいこう。
③ 太腿のストレッチ
まっすぐに立った姿勢から片脚を床から引き上げ、左右の手で脛部分を持ち上げる。足首を引き上げることによってお尻の深層の梨状筋がストレッチされる。左右交互に10回。
日常生活の悪姿勢をフォームローラーでリセット。
① 肩まわりの調整
フォームローラーの上で仰向けになる。両膝を立てて両足を肩幅よりやや広く開く。カラダからやや離れた位置で両手の掌を床につけ、内側に大きく10回転、外側に大きく10回転。
② 肩甲骨まわりの調整
1/20
同じくフォームローラーの上で仰向けになり、両手を真上に上げる。掌は内側に向け、腕は平行。
そのまま肩を上下動させる。腕を動かすのではなく肩甲骨を開閉させる。10回。
③ 骨盤まわりの調整
1/20
上半身を整えたら、最後は骨盤のリセット。フォームローラーに仰向けになる。
骨盤を左右に捻りつつ移動させる。腰は常に床と平行にキープすること。10回繰り返し。
トレーナー愛用・ケガ予防グッズ3選。
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①リストラップ
ベンチプレスなどを行うとき、手首の痛みを防ぎ保護するリストバンド。手首に巻き付けて関節を固定する。
③フロッグバンド
カエルの足のような突起部分を足指に挟み、反対側を手で引っ張って足指を曲げる。足底筋膜を強化しバランス感覚アップ。
取材・文/石飛カノ 撮影/山城健朗 スタイリスト/山内省吾 ヘア&メイク/天野誠吾 取材協力/白戸拓也(フージャース ウェルネス&スポーツ)
初出『Tarzan』No.785・2020年4月9日発売
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