【感染予防の基本のキ】「手洗い」完全マニュアル
病原体を“持ち込まない、持ち出さない、拡げない”。感染予防の3原則に徹するため、正しく理解したい手洗いについて改めて学ぼう。
取材・文/門上奈央 イラストレーション/中村知史 取材協力/小林寅喆(東邦大学看護学部感染制御学研究室教授)、石鞍信哉(メディコムジャパン)
初出『Tarzan』No.788・2020年5月28日発売
ウイルスを「洗い流す」手洗いを
「他の感染対策の何倍も手洗いが大事と断言できます」と、東邦大学看護学部感染制御学研究室の小林寅喆教授は説く。
今、誰もが恐れる新型コロナウイルスは主に飛沫感染と接触感染。いずれも汚染された手や飛沫を介しているケースが大半だ。
「ウイルスを洗い流すのが手洗いの目的です。石鹼を使うとベター。今回のようなウイルスが持つエンベロープという膜は、石鹼で洗うと溶かすことが期待できます」(小林教授)
感染予防商品を扱う〈メディコムジャパン〉メディカル事業部の石鞍信哉さんによれば、今までの手洗い習慣を改める必要があるそう。
「皮膚の上には常在菌が棲む層と”ばい菌”とされる一過性の細菌層の2層があります。手洗いには3種類の方法がありますが、今はさっと洗い流す”日常的手洗い”でなく、約30秒間洗い常在菌にもアプローチする”衛生的手洗い”を行うべきです」(石鞍さん)
「衛生的手洗い」を一から実践。
コロナ禍以前、食事前後やトイレの後に一般的だったのは前者だろう。だが今やるべきは間違いなく後者だ。今回はその方法を一から学びたい。
「食事前など、手を顔付近に近づける前は必ず手を洗うこと。外出した後は、家の中にウイルスを運び込まないよう、まず手を洗うことをルーティンにしましょう」(小林教授)
「衛生的手洗いは30秒ほどかけて丁寧に。また+aで、爪を短く切って手の衛生に配慮したり、手洗い後にハンドクリームなどで保湿して手荒れしないようケアできるとなおよしです」(石鞍さん)
洗い始めてから「しまった!」トラブル時の対処法。
四の五の言わず感染予防に手洗い! と張り切っても上の通りに洗えない”ピンチ”に直面することもあるだろう。でも動じるなかれ。どんな状況であれ手を洗うに越したことはない。その効果を十分に得るための対策を教えよう。