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シューズに“乗る”感覚。ニューバランスのランニングシューズ《FuelCell TC》に足を入れ、一歩踏み出したときに直感したフィーリングはそれだった。
最新トレンドの厚底シューズである。そのフォルムは安心感を与え、中には多くの機能がギュッと詰まっている。「TC」はTraining Competitionの略で、トレーニング、競争の意。フル3時間~3時間半程度の走力を持つランナーの普段の練習やレース向けに開発されている。
ベースは昨年話題となった1マイル用シューズ《FuelCell 5280》。こちらは1マイル、つまり1600mを走ることを想定したシューズなので踵部分の補強は簡素だったが、《FuelCell TC》はグリップ力の高いラバーがアウトソールの前足部と踵部分に装着されている。最初の“乗る”フィーリングは、このアウトソールがもたらす安定した着地感による部分も大きいと思われる。
そもそもFuelCellはミッドソールの名前である。外側から指で押してみるとわかるが、かなりソフトだ。でもただ柔らかいだけじゃなく、しなやかに跳ね返ってくる頼もしさがある。だから踵から着地しても足が横ブレせず、真上に戻ってくる感覚。素材はちゃんと耐久性を担保したコンパウンドで作られている。
その上にはカーボンファイバープレートがフルレングスで内蔵されている。これが組み込まれることで、自然な接地を生む柔軟性と力強い推進力を生む硬さ(剛性)を両立。サブ4以上の実力を持つランナーが求めるスピード感、その大きな鍵はミッドソールと、このカーボンファイバープレートが握っているのだろう。
実際に軽く走ってみると、特にスピードに乗って前足部で着地したときの安心感は相当なものだった。おそらくスイートスポットが広いため、特に意識しなくても気持ちよく接地できるのだ。さらにアウトソールの前足部が少し弧を描いているため、転がるように自然に足を蹴ることができる。つまり足抜けがかなり良く、長時間のランでも楽に走れそうだ。
アッパーはメッシュ素材を使い通気性を確保。フィット感も良く、いい意味でニューバランスらしくない外見ながらも、長年培われた独自のホールド感はしっかり感じられる。サブ4以上向けと書いたが、ファンランナーレベルでもこのシューズは違和感なく走れるはず。
シューズに乗るように身を任せ、軽やかに前に進む。《FuelCell TC》で改めて走る楽しさを体感したい。
ニューバランス tel. 0120-850997
取材・文/黒田創 イラストレーション/羽鳥好美
初出『Tarzan』No.784・2020年3月26日発売