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糖質、どう摂る? 脳を活性化させる「1日の食事」

1日3食+間食で、糖質などをどう摂ると脳力は高められるのか。科学的に追求してみた。

朝食:糖質と同時にアミノ酸と脂質も忘れず摂取する。

朝食

脳のエネルギーとして糖質を摂るのは大事だが、朝食を含めて1日3食で一緒にアミノ酸と脂質も摂るべき。

アミノ酸が欠かせないのは、ニューロンが情報伝達に使う神経伝達物質の原料がアミノ酸だから。

たとえば、意欲や学習に関わるドーパミンという神経伝達物質は、フェニルアラニンやチロシンといったアミノ酸から合成される。このうちフェニルアラニンは体内では合成できないため、肉類や魚類などのタンパク源から摂るべき必須アミノ酸である。また、覚醒を促すセロトニンは、同じく必須アミノ酸のトリプトファンから作られている。セロトニンは眠りへ誘うメラトニンというホルモンの元になる。

脂質が不可欠なのは、ニューロンを包む細胞膜の成分となるため。脳の重さの約60%は脂質で占められており、脂質のなかでも大豆や卵黄に含まれるレシチンは細胞膜の主成分となる。

「脳にいいアミノ酸と脂質が摂れるのは、要するに旨味とコクがある美味しい食べ物。旨味のある食べ物にアミノ酸が多く、コクがある食べ物にレシチンなどの脂質が含まれるのです」(公立諏訪東京理科大学・篠原菊紀教授)

美味探求は脳のためにもなるのだ。

間食:空腹でも満腹でも頭は働く。自らに最適の間食法を。

間食

空腹の方が頭は働くという人もいれば、間食で何か食べた方が頭は働くという人もいる。どちらが正しいのか。

脳に情報をインプットして記憶しないと閃きは生まれない。そのベースとなる記憶力については、どちらも正解。空腹時に出るグレリンというホルモンも、食後に出るレプチンやインスリンというホルモンも、記憶を担う脳の海馬に作用して記憶力を高める。これは野生動物の行動様式に立ち返ると腑に落ちる。空腹で動いてエサが獲れたら、そのプロセスを覚えた方が有利。そしてエサを食べて満腹になった場所を記憶した方が次も満腹になれる可能性が高い。それはヒトでも同じなのだ。

ただし、空腹がいいか、満腹がいいかは人それぞれ。個人差が大きい。

「空腹と満腹でどちらが頭は働き、記憶力が良くなるのか。2週間ほどモニタリングして、自分はどちらのタイプかをしっかり見極めてください」

モニタリングで空腹、または満腹の方がいいとわかったら、あとはプラセボ(偽薬)効果の出番。

「偽物と書いた鎮痛剤と本物と書いた偽薬の鎮痛効果はほぼ同じ。空腹、満腹どちらかに決め信じ込みましょう」

昼食:地中海食か一汁三菜の和食と決める。

昼食

認知症予防は世界的なテーマとなっている。WHO(世界保健機関)は2019年、認知症予防に効く食事を発表した。そこで名指しにされたのは、地中海食。イタリアやギリシャの地中海沿岸の伝統的な食事であり、魚類、野菜、未精製の穀物、オリーブオイルなどを中心とするのが特徴だ。

地中海食の何かが認知症予防に効くのではなく、栄養バランスが良い点が重要。その点では一汁三菜の和食も、おそらく認知症予防に有益だと考えられる。地中海食店が近所になければ、ランチは定食店と決めよう。

「とくに適度に欧米化され、動物性のタンパク質と脂質の摂取が増えた1970年代の和食が良いとされます」

ただ認知症は想像以上に長い時間をかけて進行するから、話は難しい。一例を挙げると、認知症を招くアルツハイマー病の原因物質アミロイドβは、25年以上かけて蓄積するとされる。

「25年以上も追跡調査した研究が少ないので、どんな食事が認知症予防にいいかは断定できない。でも、現在のところ、遺伝的な危険因子を持たない人には、地中海食か適度に欧米化した和食が予防に有効と言えるでしょう」

夕食:最強なのは糖質摂取後に運動で筋肉と骨を刺激すること。

夕食

カラダ作りに欠かせないのは、栄養と運動という2本柱。脳力アップを図るためにも、糖質などの栄養補給に加えてやはり運動もやっておきたい。

筋トレをすると、筋肉と骨に刺激が伝わる。その結果、筋肉の細胞から出るカテプシンBというメッセージ物質、骨を合成する骨芽細胞から出るオステオカルシンというタンパク質は、ともに脳に働いて記憶力を高める。

有効なのは筋トレだけではない。ランなどの有酸素運動を行うと、脳内で記憶を担っている海馬で新たにニューロンが増えるという報告もある。

これも野生動物の行動様式に照らし合わせると納得しやすい。

野生動物が活発に動き回るのはもっぱら、エサを獲ったり、天敵から逃げたりするタイミング。美味しいエサが獲れたり、天敵からうまく逃れたりした経験を記憶することは、生存率を上げるために大切。そう考えると、ヒトでも筋トレや有酸素といった運動で記憶力が上がるのは当たり前だ。

栄養バランスが取れた食事を摂り、夜の誘いを断ってジムに寄って軽く汗を流すのが、いくつになっても冴えた脳をキープする秘訣なのである。

取材・文/井上健二 イラストレーション/中村純司

初出『Tarzan』No.783・2020年3月12日

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