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こんなパンを待っていた! 豆でつくられたグルテンフリーの《ZENB ブレッド》
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必要かつ十分な栄養と休養をとっていても、水分補給が不十分だと、恐ろしいトラブルが忍び寄る。喉の渇きを感じる前に補給せよ!
多すぎても、少なすぎてもカラダに良くない影響を及ぼすかもしれないこと、それが水分補給。普段から意識的して摂っている人も、全然意識をしていなかった人も、6つのトピックから正しい水分補給の知識を深めよう!
油断をすると屋内でも起こる脱水症状と熱中症。発汗による体温調節には水分が不可欠だから、喉が渇くたびに飲む人は多いが…、
「脱水であれば、いろんな症状が出てきますが、カラダの水分が減っているのに、症状を伴わないかくれ脱水という状態があります」と語るのは谷口英喜医師。
症状がないため、この状態をつい放置し、喉の渇きに気づいたときにはもう脱水状態は進行している。感覚に頼るのではなく、時間を決めて水分補給と向き合わなくてはいけない。
「睡眠を8時間とるとしたら、起きている16時間で合計1.5ℓくらい飲んでほしいのですが、一度に飲める量ではないので、2時間おきに1回200mlくらいずつ飲んでください」
睡眠中は水を飲めない。起床直後、カラダは最も渇いている。
「就寝前と起床直後に体重を量る習慣をつけましょう。朝起きて減っていたら、それは体脂肪ではなくて水分が減っていたのです!」
可能なら2時間おきではなく、もっと短い間隔で給水すれば、カラダはさらに喜ぶだろう。
養成分表を見てみよう。どんな食材も半分は水分だ。よって、1日2食を摂れば、食材由来の水分は摂れることになる。既に書いた通り起床直後はカラダが最も渇いているため、朝食抜きは水分補給の観点からリスキーな生活習慣となる。
「1日に1.5Lの水を飲みましょうというのは、3食をきちんと食べることが前提の数値目標です。メニューの内容によらず、食事を摂ればそのつど大体500mlの水分補給にはなっています」
ビルダーがコンテスト前に塩分、糖分、水分の摂取を制限するのは知られた話だが、当然これは危険を伴うから期間限定でのこと。素人判断で日常的に水分を制限してしまうと重大な事態を招きかねない。少し食事量を控えたければ、減った食事に含まれているはずの水分量は飲んで補うほかない。
「給水間隔だって、本当は短ければ短いほどいいんです。理想を言えば24時間少しずつ点滴で流し続けてほしいぐらいです。ダイエットで食事を減らすと、自動的に脱水を招く可能性が高まります。十分に水を飲んでください」
動量が多ければ、それだけ発汗量も多くなるため、カラダが水分を求めるのは当たり前。だが、1回の筋トレに要するエネルギーは意外に少ない。
「水の必要量には個人差が大きく、すべての人が1日当たり1.5Lの水分補給でいいとは限りません」
必要量はカラダの大きさ、もっと言えば筋量に比例するので、男女差もあるという。
「個人差を考慮すると体重1kg当たり30~40mlの水を1日に摂取しておく必要がありますから、一般的には女性よりも男性の方が必要量は多くなる傾向があります。発汗前の男性なら体重の約60%、女性は約55%ぐらいの水分をカラダに蓄えていることになります」
脂肪組織は水を蓄える能力に乏しく、貯めておける場所はほぼ筋肉だ。加齢に伴い筋量が減れば、脱水症状や熱中症にかかりやすくなる。逆に筋トレに取り組み、筋量の維持、増加に励めば罹患のリスクは確実に下げられる。
「脱水症状や熱中症の予防に最もいいのは水分補給ではなく、筋肉をつけること。つまり、トレーニーは低リスクだということです」
「私たちのカラダの中にある水の量は常に腎臓と脳が検知しています。そのときの渇き具合にもよりますが、大量の水を一気飲みしても過剰と判断されてしまうため、吸収されることなく体外に排出されてしまいます」
このメカニズムがきちんと機能してくれていれば問題はない。だが、その能力を大幅に超えて、電解質を含まない水を一度に大量に飲むと低ナトリウム血症、別名水中毒を起こすことがある。
このトラブルに陥ると、体内の電解質のバランスが崩れて頭痛、めまい、頻尿、疲労感、浮腫、下痢などに見舞われる。大量に一気飲みはご法度だ。
「カーボローディングでは摂った糖をグリコーゲンとして筋肉や肝臓に貯められますが、水は貯められません。だから、運動前に大量にではなく、運動中に小まめにちびちびと飲むのが一番です」
ちびちび飲みはカラダをだます戦略的給水術。慣らしていけば、より多く飲めるようになる可能性はある。ただし、貯めておける器=筋肉を増やすことも必要になるのは言うまでもない。
フェインの体脂肪燃焼効果を期待して、運動前にコーヒーを飲む人は少なくない。が、運動後に測定して、体重が減っていたとしても、それは発汗とカフェインの利尿作用で尿として出ていった水分がほとんどだとする声もある。
「確かにカフェインには利尿作用がありますが、実は反応する体質の人は案外限られます。それにカフェインは繰り返し飲むことで耐性ができるものです」
運動時以外にも普段職場や自宅でコーヒー、紅茶や緑茶を飲むやいなや、すぐトイレに駆け込む人など見たことあるだろうか?
「ですから、飲み慣れている人はカフェイン入りの飲料でも水分補給はできます。ただし、まれに感受性の高い人もいますから、明らかにトイレが近くなるような飲み物がわかっていたら、避けるのが賢明です。トイレに行きたくなるかどうかで判断しましょう」
普段カフェインが平気でも、ここ一番のレースや試合前には、緊張感からもトイレが近くなることがある。あれこれ考えると、不純物のない、質の高い水を飲んでおくのが安心だ。
仕事や家事の合間に一息入れて、水分を補給できればいい。が、無我夢中で何かに没頭しているときは、水どころではなくなる。
「それをやる人にかくれ脱水が起きやすいんです。特に自覚症状がなくても、糖尿病の患者さんとかくれ脱水時の健常者は似ていて、ともに血液がドロドロで、血管の中は非常に危険な状態になっています」
水分が不足すると免疫力さえ低下するという。
「ウイルスや細菌から最前線で私たちを守っているのは気管の粘膜です。粘膜に水分がたっぷり供給されていて、粘膜の状態がよければ、免疫力は高いはずです」
水分が不足すると粘膜のコンディションが悪化して、感染症にかかりやすくなる。感染症から発熱すれば、さらにカラダは水分を失うという悪循環に陥る。
また、日常的に水分不足が続くと、便も水分が乏しくなり、腸内での動きが悪化し、便秘の一因となる。便秘を放置すると相対的に悪玉の腸内細菌が増えることが知られている。腸内環境を守るためにも、水分は十分に補給したい。
健康や美容に意識の高い人たちは飲み水にこだわる傾向が強い。アルカリイオン水やら還元水素水やら、違いがわかりにくいので、パナソニックでアクア商品開発担当の頓宮千加さんに聞いてみた。
「約30年前の健康ブームで人気になったのがアルカリイオン水です。水道水を浄水した後、電気分解し、陰極側にできる水素ガスを含むpH9~10未満のアルカリ性の電解水を指します」(頓宮さん)
その後、厚生省(当時)の要請を受け、整水器と生成水に関する厳密な客観的検証が実施され、継続的に飲むことで胃腸症状の改善効果が確認された。
「2010年ごろアンチエイジングに関心の高い人たちの間で水素水のブームが起きて、弊社も多数の問い合わせをいただきました。けれど、そもそもアルカリイオン水には電気分解により、水素がたっぷり入っていますから、それがしっかり伝わるように、還元水素水と呼称を変更しました」
昨今、還元水素水生成器が家庭に浸透し始めたが、一般家庭の水道水は、地域により性質が微妙に異なる。機器によって浄水性能が異なる場合もあるので、導入を考える人は電解性能だけでなく、浄水性能も確認した方が賢明だ。
取材・文/廣松正浩 撮影/大嶋千尋 イラストレーション/seijimatsumoto 取材協力/谷口英喜(神奈川県済生会横浜市東部病院 患者支援センター長兼栄養部部長、医学博士)