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お菓子1パックを3日かけて食べる。23歳の賞金女王・大山千広のボートレーサーな生活

23歳の若さでの賞金女王。キュートなルックス。ボートレース界に現れたニューヒロインは、母親に憧れてボートレーサーになったという。

2019年8月の「プレミアムG1レディースチャンピオン」に初出場し初優勝。12月には賞金上位者が出場できるグランプリシリーズにも選出された。2019年の年間獲得賞金は5,683万6千円! ボートレーサーの大山千広さんは23歳の若さで、見事に賞金女王に輝いた。

大山千広さん
大山千広(おおやま・ちひろ)1996年生まれ。福岡県出身。母親でボートレーサーの大山博美選手(2018年に引退)に憧れ、高校卒業後にボートレーサー養成所へ。2019年に賞金女王に輝き、最優秀女子選手にも選ばれた。
撮影/大内香織

勝ちたいなら努力は当たり前。

ボートレーサーとして活躍する母親の姿に刺激され、小学校低学年の頃には、ボートレーサーになることを夢見ていたという大山さん。高校生のときはカラダづくりのためにと、陸上部で七種競技に打ち込んだ。

「走るだけじゃなく、跳躍種目や投擲種目もあって、カラダのいろいろなところを使うから良いかなと思ったんです。ボートレーサーの養成所に入るときに、体力試験もあるので、鍛えておけば役立つかなと思ったんです」

しかし、プロのボートレーサーになった今、陸上部時代の経験が活きていると感じるのは、フィジカル面よりもメンタル面だという。

「走る体力とかは絶対に落ちていますし、そこはあまり関係ないかなと思っているんですけど、勝ちたいのなら人一倍努力するのは当たり前だという感覚を身につけられたのは大きいかなと思います。

練習をきついと思わないというか、勝ちたいんだからやるでしょと。トレーニングが苦じゃないのは、陸上部で鍛えて頂いたおかげだと思います」

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2019年8月の「プレミアムG1レディースチャンピオン」で優勝したときの様子。

必要なのは体幹の強さ。

勝ちたいのなら人より練習するのが当然。そう自然に思えるメンタルの持ち主である大山さんも、養成所時代はキツかったのだとか。

「規則正しい生活が本当に大変でした(笑)。もちろんキツいことは覚悟していたんですけど、想像を絶していましたね。

たとえば朝は5時55分から小さな音が鳴り始めて、6時のブザーで起床するんですけど、2分後には中庭に整列していなければ、ならず6時3分には点呼が始まるんです。

もちろん布団も畳んで整頓しておかなければいけないですし。食事もゆっくりなんて食べて入られません。時間内に済ませることはもちろんなんですけど、食事の時間が終了したらすぐに次の行動に移らないと、訓練に間に合わないんです。

でも廊下は走ってはいけないので、移動は早歩き。常に、間に合わないよって思っていました。その頃に比べたら、いまの方がいい生活をしてますね(笑)」

大山さんがボートレーサーに必要だと考えているのが、体幹の強さ。

「水の上ってかなり不安定で、結構カラダが振られるんです。旋回のときは、かなりG(遠心力)がかかりますし、舟を足で蹴ってコントロールする場面もあるので。

ただそのために特別なトレーニングをしているわけではなく、ボートに必要な筋肉はボートに乗っていればつくのかなと。ただ、これは本当にレーサーによって全然違うんです。筋トレをするレーサーもいますし、まったく力を使わずに乗るっていうレーサーもいます。

私は腕とお尻が筋肉痛になることが多いんですけど、それも選手それぞれで。私と母でも乗り方が違うぐらいですから」

ボートに乗る大山千広さん
旋回時にはG(遠心力)がカラダにかかるため、体幹の強さが求められる。

お菓子1パックに3日はかける。

体重管理もボートレーサーの大切な仕事の1つ。48kgを超えないように節制はしているが、過度な食事制限などはしない。

「食べるのが好きで、食べたいものを食べないとストレスになるんです。好きなものを食べればそのあと我慢できるので。量はあまり食べないですけど、好きなものは食べたいときに食べています!」

好きな食べものは焼肉。チョコレートやスナック菓子もよく食べる。

「焼肉はしょっちゅう行っています。タンが一番好きで、サーロインとかも食べますね。昔はお菓子1パックって1人分だし、1日分でしょって思っていたんですけど、ボートレーサーの常識は違うみたいで(笑)。いまは、同じ部屋の人と分けながら、3〜4日かけて1パック食べています」

大山千広さん
「好きなものは我慢せずに食べます!」と笑顔で語る大山さん。
撮影/大内香織

意識して摂取しているのはタンパク質だという。

「陸上部時代もなかなか体重が増えないというか、筋肉がつきにくくて。遺伝子検査をしてみたら、タンパク質を吸収しにくいタイプのようで。それがわかってからは、タンパク質量を意識するようになりました。肉も好きですけど、豆腐や納豆をよく食べていますね」

賞金女王の次なる野望は? との問いには、地に足のついた、ベテランレーサーのような答えが返ってきた。

「2020年は、去年よりレベルアップしたなと思える年にしたいですね。スタート、整備、メンタルなど課題はたくさんありますけど、一番は旋回の技術ですね。

もちろん勝率が上がったり、優勝回数が増えたら嬉しいですけど、自分で上達を実感できるぐらい上手くなりたいですね。もしかしたら結果を出すことよりも難しい目標なのかもしれないですけど」

取材・文/神津文人

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