【今回の筋肉】中込健太
魅せるカラダになるために鍛えたことは実は一度もありません。ただ、いい音を鳴らすために必要なカラダとは?と考え続けてきました。
〈鼓童〉では一人前の太鼓打ちとして活動する前の2年間、新潟県佐渡市にある研修所で過ごします。当時は体力づくりも兼ねて毎朝10kmラン。また農作業などの肉体労働が日本の芸能のルーツという考えから、日々畑仕事にも励みました。その中で発達した筋肉や身についた低重心の姿勢こそ自分の原点です。
舞台デビュー後は年中巡業する日々で、体調不良や故障に悩まされることも。知人のトレーナーに見てもらうと、偏ったカラダの使い方が原因だと指摘されました。
太鼓では特に上半身を酷使しがちなので、今は下半身や体幹部の筋力の強化に注力してます。よくやるのはチューブを踏み、両端を手で摑んだ状態で行うスクワット。演奏中に地面をしっかり踏んでカラダの軸がブレないように姿勢を保つ練習になります。
柔軟にも使えるチューブは常に持参。疲労解消のために走ることもあります。カラダが資本、壊れたら本当に生きていけません(笑)。
経験上、太鼓の腕は必ずしも筋肉量に比例しないように思います。20代の頃「筋力で全て解決できる!」と信じて、毎日大量に食べては全力で太鼓を打っていたせいか、体格も異様にデカくて(笑)。
最近は加齢もあり当時から筋肉量も減ったものの、筋肉のつき方が自然になり、音にもヌケが生まれた気がします。あと食事もやはり大切。外食が多いツアー中は小型炊飯器と佐渡産の米を携行し、納豆などと一緒に食べます。
かっこいいなと思うのは肉体労働に従事する方のカラダ。佐渡で漁師やとび職の方々と関わる機会があり、彼らの佇まいには仕事に励むなかで滲み出る美しさがありました。自分もそうありたいです!