• W杯開幕直前! ラグビー日本代表キャプテン、リーチ マイケルの闘志と覚悟を知る
COLUMN
2019.09.19

W杯開幕直前! ラグビー日本代表キャプテン、リーチ マイケルの闘志と覚悟を知る

リーチ マイケル
リーチ マイケル
1998年生まれ。ニュージーランドで生まれ、15歳のときに札幌山の手高校に入学。東海大学を経て東芝ブレイブルーパスに入団。2019年大会は3度目のワールドカップ出場となる。

屈強な肉体と気高き精神が正面からぶつかり合う。世界20か国のラガーマンたちの本気の勝負がいよいよ始まる。この選手なくして今のラグビー日本代表はない。内に秘めた情熱と闘志、そしてワールドクラスのプレーでチームを牽引する、寡黙なキャプテンのすべてに迫る。

——2015年大会、南アフリカ戦の勝利をもたらしたものとは?

試合を通して走り続けるというゲームプランを選手個々が遂行するために、フィットネス、戦術理解、個人スキル、メンタルのすべてをあの一戦に向けて向上させることができたことがすべてですね。

南アフリカに勝つための完璧な「準備」が実を結んだというか、あの日は最初のプレーから「勝てる」という手応えがありましたね。

——劇的な勝利から4年、前回大会以上の結果が求められるなか、現在の日本代表の強みとは?

何よりグラウンド外でのコミュニケーション。それこそが良い準備に繫がりますので。

チームには関連するポジションごとに主に3つのグループがあり、各グループ内でのディスカッションから生まれた課題を軸にさらにリーダー陣だけでミーティングを重ね、全選手にフィードバックしていきます。そのような選手間同士の話し合いはほぼ毎日のように行っています。

そのあたりを怠って試合だけ頑張るというスタンスになってしまうと試合のパフォーマンスに一貫性が生まれません。むしろそこが昔の日本代表の課題でもありましたから。

ラグビー日本代表の写真
試合直前の練習後、キャプテンを中心に扇を作り、チームの結束を高める。

——選手全員が同じベクトルに向かってチーム力を高めていくために最も必要なこととは?

チームに対する忠誠心と愛情。

僕はそれを「コミットメント」と表現していますが、チームのプランや目標に対するコミットメントがあってこそ、フィジカル、メンタルともに勝利に貢献できるレベルに持っていけるものだと考えています。

ラグビーというスポーツは、フィールドに1チーム15人もの選手が一緒にプレーしているのに、1人でも自分の役割をこなせていないとチームが大きく崩れてしまうので。

——“ラグビー”というスポーツそのものの魅力とは?

一言で表すのは難しいですが、「仲間のためにカラダを張れる」ことでしょうか。

日常生活で自分のカラダを犠牲にする機会というのはなかなかないですが、チームメイト、仲間のために何かやってあげたいと思えるのがラグビーのフィールドなんですよ。

不思議なスポーツですよね。だからこそ試合に勝つと心から嬉しいですし、試合後の飲み会も最高に楽しいんです(笑)。

——15歳で留学生として来日。日本人として日本開催のワールドカップに出場することへの思いは?

運命、ですかね。

自分は現在の位置にいるべくしていると感じますし、この大会で日本代表のユニフォームを着てプレーするために日本にやってきたのかもしれない、とさえ思っています。

——今の日本代表の世界における現在地とは?

確実に強くなっていると思いますし、世界のトップ相手でもリスペクトされていることを実感します。それに日本国内だけではなく、実は世界中に日本代表のファンがいるんですよ。

「カラダが小さい日本が列強国に勝つ」ことがいかに難しいのかということを世界のラグビーファンはよく知ってくれていますし、だからこそ日本代表がワールドカップの舞台で頑張っている姿を見て感動してくれるんです。

リーチマイケル選手

——キャプテンとしてチームをまとめるために心がけていることは?

稲垣啓太、姫野和樹、ラファエレ ティモシー、中村亮土、田中史朗、松島幸太朗、流大…各グループのリーダー格の選手たちが常に高い意識を持ってプレーしてくれているので、僕が特別「みんなを引っ張っていかなければ」というような力みはないですね。

彼らが意識していることをしっかり把握し、理解さえしていればチームは良い方向に進んでいけると思っています。

——前回大会、3勝を挙げながらグループリーグを突破できず。今大会で決勝トーナメント進出の鍵になるのは?

初戦(ロシア戦)が一番大事でしょうね。セーフティに行こうとするとやられる。初戦だからといって様子を見ながらではなく、どんどん攻めて、チャレンジしなければ。より勝利に対して貪欲に向かっていきたいです。

今大会ほど日本の皆さんにラグビーを通してインパクトを与えられる機会はないと思っているので。日本のラグビー界にとってまたとないこのビッグチャンスをしっかり生かしたいですね。

——今回、初めて日本代表のラグビーをじっくり見る人たちへ、「日本代表のここを見てほしい」と思うところは?

世界の中でもカラダの小さいチームが、自分たちよりもはるかに屈強な相手に勝つ。そのために選手たちが奮い立たせる勇気や覚悟、ハードワークをぜひ見てほしいですね。

4年前の南アフリカ戦を超えるような、他の競技のアスリートたちにも良いインスピレーションを与えられるほどの強烈なインパクトを残したいですし、「日本人は強い」というところをたくさんの人たちに示したいと思っています。

——キャプテンの理想像、チームリーダーとして最も大切にしていることとは?

キャプテンだからといって変に意識を強く持ちすぎたり、パーフェクトであろうとしないことでしょうか。

壁を作らず、いろんな選手と食事し、話をする。常に自然体で。まぁ普通のことですけどね。

——今の日本代表で、リーチ選手が最も飛躍を楽しみにしている選手は?

姫野。

彼はハートが強く、プレーそのもののクオリティも化け物クラス。また勉強熱心でプレゼンテーションが素晴らしい。それにキャラクターも良く、純粋にラグビーを楽しんでいる。

何より25歳と若い。将来、すごい日本代表のキャプテンになるんじゃないでしょうか。

——何歳くらいまで現役でプレーしていたいですか?

38歳くらいまでは。あと2回はワールドカップに出たいですね。

取材・文/徳原海 撮影/干田哲平 写真/長岡洋幸 ©JRFU

(初出『Tarzan』No.771・2019年8月29日発売)

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