• 「芥川賞受賞前に絞ったカラダ。“あの本”の影響もあるかも」作家・羽田圭介|夏の快読シリーズ
COLUMN
2019.09.01

「芥川賞受賞前に絞ったカラダ。“あの本”の影響もあるかも」作家・羽田圭介|夏の快読シリーズ

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合コンの前日とかに、ジョギングとかしていたんですよ。

『アメリカの夜』を読んだのは、小説家としてデビューした後、大学生のときです。「特別な存在」になりたい主人公が、「とにかく反復が大事だ」とか言って、誰から求められたわけでもないトレーニングを淡々とやっている姿が、なんかいいんですよね。

作家・羽田圭介さんが選んだ3冊。『アメリカの夜』 阿部和重
1. 『アメリカの夜』(阿部和重著、講談社、550円)。阿部和重のデビュー作。映画学校を卒業したフリーターの主人公の、自己鍛錬の物語。

当時の僕は、カラダを鍛えれば女の子にもてると勘違いしていたので、合コンの前日とかに、自宅の前でジョギングとかシャトルランとかしていたんですよ。そういう傾向を肯定してくれるように思わせる小説だったのかもしれません。

肉体に関する本質。

『超男性』を読んだのも、大学3年か4年のとき。『走ル』という小説の直しをしているときに、編集者に勧められました。

作家・羽田圭介さんが選んだ3冊。『超男性』 アルフレッド・ジャリ
2. 『超男性』(アルフレッド・ジャリ著、白水社、3,600円)。 1902年に発表された、アバンギャルドなスポーツ文学。壮絶な自転車レースと、セックスの果てに待ち受けるものとは?

スポーツ感覚でセックスの世界記録に挑戦する者が出てきたり、5人乗りの自転車で機関車と競争する者が出てきたり、物語はわりとめちゃくちゃなんですが、同時に、肉体は楽しさを享受するための道具であり、機械である、だから、楽しんだ者勝ちだっていう、肉体に関する本質を突くようなことも描かれていて、結構考えさせられました。

トレーニングをできたのは、この本のおかげ。

武田真治さんの『優雅な肉体が最高の復讐である。』は、武田さんが誰にも求められてない戦いを常にしているところがまずいいですね。また、この本は「トレーニングって楽しそう」と思わせてくれもする。

作家・羽田圭介さんが選んだ3冊。『優雅な肉体が最高の復讐である。』 武田真治
3. 『優雅な肉体が最高の復讐である。』(武田真治著、幻冬舎、1,300円)。「筋肉体操」で再ブレイクを果たした俳優の武田真治が、コスト0円の肉体改造メソッドを語る。

芥川賞を受賞するちょっと前に読んだんですけど、ノミネートが発表されたとき「受賞したら人前に出る機会も増えるかもしれないからちょっと絞っておくか」ってトレーニングをしたものですね。

PROFILE

羽田圭介(はだ・けいすけ)/作家。1985年、東京都生まれ。2003年、高校在学中に『黒冷水』で小説家デビュー。15年に『スクラップ・アンド・ビルド』で芥川賞受賞。その他の作品に『5時過ぎランチ』『成功者K』『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』『メタモルフォシス』など。

取材・文/鍵和田啓介 撮影/大嶋千尋

(初出『Tarzan』No.770・2019年8月8日発売)

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