足が自然と前に出る。アシックス《METARIDE》
足入れして立ち上がると、スーッとカラダが前傾して足を踏み出しそうになる。大げさな表現じゃなく本当にそんな感覚を得られるランニングシューズがアシックスの《METARIDE》(メタライド)。見ての通りかなり分厚いソールを持つが、ここに長年ランナーの身体動作を分析し、数多くの知見を得てきたアシックスの研究機関が開発したテクノロジーが詰まっている。
取材・文/黒田創 イラストレーション/羽鳥好美
(初出『Tarzan』No.768・2019年7月11日発売)
着地時の感触は、極めてソフト。
皆さんはランニング中に最も多くエネルギーを消費する部位がどこかご存じだろうか。膝? 太腿? それとも足裏? 答えは足関節、簡単に言うと足首である。歩を進めるたびに足首が過剰に大きく動いてしまうと、まずふくらはぎの筋肉に負荷がかかる。
特に初心者が長時間走るとふくらはぎが張り、ひどい場合は攣ってしまうケースが多々見受けられるが、それは足首の動かしすぎが大きな要因。ひいては膝や太腿など、脚全体のダメージにもつながっていく。
《METARIDE》(メタライド)を履くと、着地時の感触は極めてソフトで、そのまま自然に前方へライディングしていく。これはミッドソールに使われたクッション材GELと、スポンジ製のフォーム材、さらには足首の屈曲を抑えスムーズな体重移動を促す「ガイドソール」による部分が大きい。
靴の裏側を見ると踵から爪先まで空洞と溝がひと続きになっているのに気づくが、このラインがそれにあたる。自然な足の動きに沿って横ブレを抑え、クッション性ももたらしてくれるのだ。
独自設計のアウトソール。
さらにシューズの重心が後方に配置されていて、走行時の自然なライド感を実現している。
接地から蹴り出しまでの余分な足首の動きを抑えるべく、独自設計のアウトソールを搭載した点も見逃せない。これは布製のベースに柔らかい樹脂製の突起をつけ、グリップ性と耐久性、軽さを両立したもの。アッパーはニット製でフィット感、通気性ともに良好だ。
いくつもの機能が相互に作用し、足首の過剰な動きは最小限に抑えられる。事実、第三者機関による実験では足首で発生するエネルギーの消費量が、従来のシューズに比べ5分の1程度軽減したという。同じ距離を走ってもエネルギーが2割少ないのだから当然余力はあるし、レースのタイムも変わってくるだろう。
推進力があり、しかも省エネで走れる、すべてのランナーに試してほしいMETARIDE。このシューズが、ランをもっと楽しくする。