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山を走る上で、大切なこと。
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ボディビルディングを主戦場にするお二人。2016年に日本社会人選手権大会で優勝している岡田隆さんと、2018年にメンズフィジーク東京選手権大会で優勝経験もあり、岡田先生の弟子でもある望月あもんくん。なにやら楽しそうにお食事中。一体どんな話をしているのやら。その対談を聞かせてもらった。
——トレーナーとしてもトレーニーとしても進化し続ける二人。今は増量期ですか? 減量期ですか?
岡田 大会は特に控えてないので、太ろうとも絞ろうとも考えずに食べてます。今までも増量・減量をそんなに明確に設定しないというか。大きくしたいときは炭水化物を多めに摂るくらいです。
望月 同じです! 糖質の摂取量を微調整して、2週間おきに増量・減量を繰り返すやり方です。常にかっこいいカラダでいたいので、シーズンを問わず高タンパク・低脂質な食事は心がける。タンパク質量は、1日で300〜400g。これを何回とは決めていなくて、起きているうちの3時間おきに食事を摂ること以外、特にルールはないですね。
岡田 同じです(笑)。ただ、あもんとは年齢も環境も、カラダの成長過程も違うので、やり方は少しずつ違いますけどね。僕自身は24年間トレーニングを続けてきて、その限界を感じてるんです。大きくすることを最優先には考えていなくて、今はもう一度カラダをつくり直そうかと。具体的には、筋肉にスジのような切れ込みをつくることに注力してます。いわば解体作業です(笑)。実はそこでは積極的な栄養摂取はさほど重要じゃないんです。
望月 次のフェーズに! 食事内容は変わりましたか?
岡田 筋肥大するときみたいに一生懸命食べる必要はないんだよ。筋肉を維持するための最低限の栄養を摂ればいい。今のあもんのように3時間おきに食事を摂るのが理想だけど、スケジュール的になかなか難しい。でも“それも仕方ないか”と。そこでどう判断して行動するか、いかにカラダが変化するかを楽しめてるんだよね。あもんは若いし努力家だから、毎食きちんと摂ってるんじゃない?
望月 食事も仕事の一環という感覚ですね! できるだけ完璧に摂りたいなと思ってます。
——糖質の摂り方について、ルールや意識してることはありますか?
望月 主食は白米が基本です。減量中は多少摂取量を減らすけど、それでも1日で糖質300〜450g、お茶碗5〜8杯分くらい食べる。増量期は糖質500gが目安。でもご飯は低脂質だし変な太り方はしませんよ。何よりご飯を食べると元気に筋トレできるのが大きいです!
岡田 大事なことだね。僕もご飯派です。食物繊維が豊富な玄米や雑穀米、スーパー大麦が多いですが、白米も普通に食べる。野菜も一緒に摂ればGI値的に問題ないので。あもんはGI値を気にしてる?
望月 はい。僕の場合、玄米やそばのような低GI値の主食にすると、トレーニング中にエネルギー不足を感じることが多いんです。体質に合う糖質を見つけることが大事だなと。パンもあまり食べません。筋肉が張らないというか。
岡田 周りでもパン食べてる人はほとんど見ないね。だいたいご飯か麺だし。パスタは食べる?
望月 前は増量中にたまに食ベてましたが、最近は脂肪をつけたくないので摂っていないです。その点でもご飯はイイ! あと、たまにトレーニング中にマルトデキストリンを摂りますが、気休め感覚かも。
岡田 僕も2年くらい前までカーボ系のサプリを摂ってたけど、今はもう摂ってないな。食事で美味しく摂る方がずっと大事だと思う。
——普段はどんなサプリを飲んでいるんですか?
岡田 今メインで摂ってるのはペプチドとEAA、ビタミン&ミネラル。トレーニング中に必須アミノ酸を摂ることも。グルタミンはたまに。昔はカーボもパンプ系も飲んでたのにだいぶ減った。あもんは?
望月 僕もグルタミン以外、岡田先生が飲んでるものは全部飲んでます。あとはプロテイン。もちろん、タンパク質は食事からたっぷり摂ってますけどね!
岡田 さすがだね。僕も最近はもっぱら食事から。プロテインをほとんど飲まなくなったのは、消化酵素を食事のために温存しておきたいからなんだよね(笑)。
望月 名言いただきました。たしかに分子の単位が大きいプロテインは、分子の単位が小さいペプチドと違ってよりたくさんの消化酵素が必要な気がしますよね。
岡田 消化酵素をムダに使いたくないのは、胃腸の負担をできるだけ減らしたいからなんです。たしかに鶏肉を調理する手間は増えたけど、せっかく1日200g前後のタンパク質を摂るなら、やっぱり肉がいい。鶏肉の方が腹持ちもいいから、空腹の苦しさを感じないしね。“摂りたい”と思わない栄養に筋肉を大きくする作用はないんだよ。
望月 また名言(笑)。僕も出先では持参した蒸し鶏を食べることが多いです。やっぱり食事から摂りたいですよね。家で夕食を食べるときは、最近はサーモンやマグロの刺し身を選ぶことが多いです。1食でタンパク質を40g摂りたいので、魚だけでは足りなさそうなら豆腐などを追加。夜食の一品によく食べるのはギリシャヨーグルトです。
岡田 僕も乳製品の中では一番食べてるかも。脂質の量も知れてるしね。ただ加糖タイプは食べない。少し食べたからってすぐに太るわけではないけど、カラダが白砂糖を求め始めるのが嫌だから。
望月 僕も増量期には低脂質な和菓子や干し芋はよく食べますが、ちょっと気をつけないと。
岡田 それにしても…あもんの食生活の話を聞くと“トレーニーは大変だな”と思った。
望月 でも岡田先生もかつては歩まれた道ですよ(笑)。
岡田 食事もトレーニングもルーティンを完璧にこなさなければと思ってたね。自分のカラダのポテンシャルを信じていた。それが間違いだったとは思わないです。ボディビルで結果を出すためだったから。でもトレーニングにまつわるいろんな呪縛から解かれたことで、食事が楽しくなったし、カラダづくりについての新しい視点に気づけた。これは本当に大きいよ。
望月 僕、今は食事もサプリも摂るのが楽しいんです。“また大きくなるかな?”ってワクワクする。
岡田 いいねぇ。あもんには若いうちに全部やりきってほしい。“全部やったぞ”という自信は人間としてのオーラに必ず表れるし、絶対自分を成長させてくれるから。
取材・文/門上奈央 撮影/角戸菜摘
(初出『Tarzan』No.761・2019年3月20日発売)