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筋肉を思うなら摂り漏らすな! 筋合成を高める「微量栄養素」リスト

微量栄養素はとかく後回しにしがちだが、摂取を心がけることが筋肥大への近道。摂りたい各種ビタミン、ミネラルの一覧と、それらを多く含む食品のリストを用意した。ぜひ食生活に役立ててほしい!


摂りたいビタミンとミネラルを多く含む食品リスト
摂りたいビタミンとミネラルを多く含む食品リスト。

ビタミンB群

タンパク質、糖質、脂質を代謝する

筋トレ時などにタンパク質を補うために設計されているプロテインに、多くの場合添加されているビタミンがある。それがビタミンB群。

「B群はタンパク質、糖質、脂質の3大栄養素の代謝をサポートします。ことにタンパク質代謝にはB6がなくてはならない存在です」(管理栄養士の山下尚子さん)

B6が多いのは、ニンニク、マグロ、カツオ、サバ、鮭、鶏肉、ナッツ類、アボカドなど。B群は水に溶ける水溶性であり、一度にたくさん摂ったとしても、不要な分は尿から排泄される。一日を通じて欠乏しないように、タンパク質と同じようにこまめなサプライが求められる。

この他、運動のエネルギー源にもなる糖質の代謝にはB₁、脂質の代謝にはB₂が関わる。B群は協力して働くので、B6のみならず、これらのB群も大事。B₁は豚肉とその加工品であるハムやベーコン、きな粉など、B2はレバー、サバ、納豆、モロヘイヤ、きのこ類などに多い。

ビタミンC

タンパク質合成に不可欠。抗酸化作用を持つ。補助にEも摂る

人体にもっとも必要なビタミンとして知られるのが、ビタミンC。

Cはタンパク質の合成を助けるし、ストレス下で分泌されるストレスホルモンの代謝にも関わる。筋トレに限らず、運動は多少のストレスになるから、タンパク質合成とストレスホルモンに関わるCは必需品だ。

加えてCには抗酸化作用がある。運動をすると取り入れた酸素の一部は毒性の高い活性酸素となり、老化やがん化の引き金となる。それを防ぐ抗酸化作用を持つのである。

Cが多いのはパプリカ、パセリ、ブロッコリーなどの緑黄色野菜、キウイフルーツやアセロラなどの果物。Cも水溶性で一度にたくさん摂っても貯められない。これらの食材を毎食食べてコツコツ摂取しよう。

共に摂りたいのがビタミンE。脂に溶ける脂溶性で、脂で作られた細胞膜に控えて抗酸化作用を発揮。そして活性酸素で酸化したEを元に戻すのがCだ。Eは魚卵、ウナギ、ホタルイカ、アーモンドに多い。

ビタミンD

筋肉増強に欠かせない。日焼けを避ける現代人に不足

筋肥大と微量栄養素の関わりで、最近注目されるのはビタミンD。これまでDは小腸でのカルシウムの吸収を助ける機能ばかりがクローズアップされてきた。

「しかし近年、Dに関する研究が進むにつれて、筋量や筋力の維持・向上にも重要だと判明しました」(ゴールドジムの佐藤貴規さん)

筋肉にはDを受け止める受容体があり、そこにDが結合すると筋肥大のシグナルが強まるのだ。

Dは日光(紫外線)を浴びると、皮膚のコレステロールから合成される。しかし美容面から日焼けを嫌がる現代人は日光を浴びる時間が年々少なくなっており、それに応じてDの合成量も減っている。ならば、食事から積極的に摂ってやろう。

Dが多いのは、イワシや鮭といった魚介類、舞茸や干し椎茸といったきのこ類。ことに魚介類はタンパク源でもあるから、1日1回は忘れずに食べたい。それと同時に顔は日焼け止めでブロックしつつ、ボディを適度に日に当ててDを合成せよ。

カルシウム(Ca)、マグネシウム(Ma)

筋肉と神経が信号を送るのに必要。骨太のカラダ作りにも

飽食の日本でいまだに欠乏しているミネラルがある。それがカルシウムとマグネシウム。いずれもカラダ作りにはなくてはならない。

「筋肉は運動神経の指令で収縮して力を出しています。マグネシウムはこの神経の伝達に関わっており、カルシウムは筋肉の収縮に欠かせない栄養素です」(山下さん)

カルシウムはミネラルでいちばん多い成分。体重の1%前後を占め、骨の主要な成分でもある。

筋トレで骨に刺激を与えるとマイナスに帯電。血中ではプラスに帯電するカルシウムを引き寄せ、骨密度を上げて骨太の骨格に仕上げる。カルシウムは牛乳・乳製品、小魚、大豆食品といったタンパク源に多い。

マグネシウムもまた骨の成分。加えて体内で350種類ほどの酵素反応をアシストしている。マグネシウムはしらす干しや貝類、大豆食品、海藻類などから摂りたい。

カルシウムを摂りすぎるとマグネシウムの吸収が阻害される。カルシウム:マグネシウムは2:1の割合で摂るのがベストだ。

亜鉛(Zn)

筋合成に働く性ホルモンの合成に欠かせない

筋肉の維持・成長には、男性のテストステロンや女性のエストロゲンといった性ホルモンも関わる。この性ホルモンの正常な分泌に欠かせないミネラルが亜鉛。

亜鉛もまた日本人に不足しやすい栄養素。成人男女ともに国の摂取推奨量を満たせていない。亜鉛は牡蠣、牛肉、カニ缶、卵(黄身)、パルメザンチーズなどから摂りたい。

亜鉛の役割は実に多彩だ。運動すると有害な活性酸素が発生するが、亜鉛はそれを処理する抗酸化作用に関わる。抗酸化力が強いビタミンAを活性化してくれるのだ。

新陳代謝を助けて傷の治りを早めたり、舌で味覚を感じる細胞の入れ替わりを助けたりするのも亜鉛。傷口に塗る軟膏に亜鉛が配合されたり、味覚障害の改善に亜鉛が効くといわれたりする所以である。免疫を担う白血球の成分でもある。

亜鉛は発汗で失われやすいので、ハードにトレーニングをするなら、多めの摂取を心がけておきたい。

鉄(Fe)

筋トレで多くの種目をやり通すには心肺機能(持久力)も不可欠

鉄というと、ランニングなどの有酸素運動に必須のミネラルというイメージが強い。有酸素では、文字通り酸素のスムーズな供給が持久力を左右している。鉄は血中で酸素を運ぶヘモグロビンの成分であり、鉄が足りないと酸素の供給が滞り、持久力がダウンしてしまうからだ。そして鉄は筋トレにも欠かせない。

「筋トレは瞬発的な運動ですが、何種目も連続してこなすには持久力もいる。鉄不足でスタミナがないと十分な鍛錬ができず、思ったようにカラダ作りが行えません」(佐藤さん)

食品中の鉄には、動物性のヘム鉄と植物性の非ヘム鉄がある。なかでも体内への吸収率が高いのがヘム鉄。レバー、赤身肉、イワシ、カツオなどに入っている。

ちなみに非ヘム鉄が多い食品には、ヒジキや海苔などの海藻類、小松菜や菜の花などの野菜、大豆がある。ビタミンCは鉄の吸収を助ける働きがある。逆に緑茶などのタンニンは非ヘム鉄と結合して吸収を邪魔する。

取材・文/井上健二 イラストレーション/miltata 取材協力/藤田 聡(立命館大学スポーツ健康科学部)、佐藤貴規(ゴールドジム) 料理作製・栄養計算/山下尚子(ディー・エヌ・エースポーツ事業本部 ランニングチーム統括部)

(初出『Tarzan』No.761・2019年3月20日発売)

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