胸焼けがして、ときどき酸っぱいものが喉まで上がってきます。|あなたの内臓レスキュー隊

口からカラダに入った食べ物は、食道・胃・十二指腸を通るプロセスで、さまざまな“敵の脅威”にさらされる。胃のあたりの不快・トラブルを専門家の先生にお訊きしました。今回の疑問は、「胸焼けがして、ときどき酸っぱいものが喉まで上がってくるのですが、何が起きているのでしょうか?」。

取材・文/石飛伽能 イラストレーション/師岡とおる 取材協力/高橋信一(杏林大学医学部第三内科学教室教授)

(初出『Tarzan』No.599・2012年3月8日発売)

逆流性食道炎の恐れがあります。

胸焼けがする。胸が痛む。胸骨の裏側が熱い。苦いもの酸っぱいものが喉に上がってくる。

コーラをがぶ飲みしたわけでもないのに、こんな症状がしょっちゅう出るようなら要注意。これすべて、逆流性食道炎(または胃・食道逆流症)の症状。その名の通り、胃の内容物が食道内に逆流して食道の粘膜が炎症を起こすという病気。

食道と胃の境界には胃の内容物の逆流を防ぐ下部食道括約筋という平滑筋がある。食事をして胃が膨らむと胃酸が食道方向に流れていこうとするが、下部食道括約筋が収縮し、その流れをせき止めてくれる。

ところが加齢によって下部食道括約筋が緩み、収縮力が低下すると胃酸が逆流。胃のように防御層を持たない食道が傷ついてしまうのだ。

肥満や妊娠で引き起こされることも。

単純に腹部が膨らむことも逆流性食道炎の原因のひとつ。下部食道括約筋は雑巾を絞るような格好で収縮する。腹部が張って圧が上がると絞った部分が緩みやすくなる。つまり、肥満や妊娠でもこの病気が引き起こされることがあるのだ。

また、胃酸の逆流で慢性の咳、喉頭炎、虫歯、耳の痛みなどの症状が出ることも。結構、怖い病気です。