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何もしなければ骨は減り続ける。骨を鍛える運動と食事で、強靱な骨を蘇らせよう。骨から若返るために、運動と食事で押さえたいポイント。「骨トレ・理論編」に続く「実践編」です。
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骨太への第一歩は運動での骨への刺激。それがピエゾ効果でカルシウムを円滑に骨に定着させて骨量を保ち、骨密度をアップさせる。
そのための運動には、日常生活で行える工夫と、トレーニングとして取り組みたい種目がある。
日常生活での骨トレは、“ながら”で手軽にできる。通勤途中で吊り革をギュッと握ったり、デスクワーク中に踵落としをしたり、階段を上ったりして、骨にシグナルを送る。ちなみに階段は1段飛ばしよりも、1段ずつ踏みしめながら上がった方が骨トレ効果は高い。
「高負荷低回数より低負荷高回数が骨には効きます」(骨代謝に詳しい内科医の藤澤孝志郎医師)
食事でひと口30回嚙むのも低負荷高回数で下顎の骨を強くする。
それ以外に取り入れたい骨トレビッグ3は、「スクワット」「アイソメトリクス」「手足グリグリ」。
スクワットは下半身、アイソメトリクスは上半身をまとめて活性化。それより負荷は低めだが、手足グリグリはどこでも手軽にトライできて上半身と下半身がまとめてケアできるメリットがある。
運動と栄養はすべての基本。骨トレとともに、食事への配慮も骨の健康には欠かせない。何より摂りたいのは、骨の屋台骨を支えるタンパク質とカルシウムだ。
タンパク質は体重1kg当たり1gが基準。70kgなら1日70gだ。ダイエットで食事を制限すると不足しやすいから要注意。タンパク質が豊富なのは肉類、魚介類、卵、大豆食品、牛乳・乳製品。なかでも意識して摂りたいのが、牛乳・乳製品、魚類、大豆食品。
牛乳・乳製品はタンパク質とカルシウムが一緒に摂れて便利。
魚介類には、カルシウムを骨に取り込む作用があるカルシトニンというホルモンが多く、タンパク質もカルシウムもリッチ。なかでもしらすや小エビのように、カルシウムの固まりである骨や殻ごと食べられるものがベストである。
大豆食品でことにお薦めなのは、木綿豆腐と納豆。どちらもタンパク質とカルシウムに加え、イソフラボンという成分が含まれる。イソフラボンは女性ホルモンのエストロゲンに似た働きがあり、カルシウムが骨から溶け出すのを防いでくれる。とくに閉経で女性ホルモンが大幅ダウンする女性に!
骨の代謝にはビタミンも秘かに一役買う。ことに役立つのはビタミンC、D、Kのトリオ。サプリよりもやはり食事から摂ろう。
ビタミンCは、骨のタンパク質合成に欠かせない。骨を作るタンパク質の多くはコラーゲン。タンパク質はアミノ酸からなり、コラーゲンを構成するヒドロキシプロリンというアミノ酸はCがないと作られないのだ。Cはパプリカなどの緑黄色野菜や果物に多い。
食品中のカルシウムの吸収率はそう高くないのが難点。それを解決してくれるのがビタミンD。Dは日光の紫外線を浴びると皮膚で合成されるが、シミやシワを避ける現代人が自ら必要量を作るのは難しい。ならばDを多く含むイワシや鮭などの魚介類、舞茸などのきのこ類を積極的に摂りたい。
「天日で乾燥させた干し椎茸にもDは多いのですが、天日を当てずに乾燥加工された製品も少なくない。生椎茸を買って、自分で15分ほど日なたで干す方が確実です」
ビタミンKは骨へのカルシウムの定着を促し、骨のコラーゲン合成を助ける善玉。Kは小松菜などの緑黄色野菜や納豆などに多い。
パプリカやパセリなどの緑黄色野菜、イチゴやレモンやアセロラなどの果物にビタミンCは多い。ニガウリは淡色野菜だが、Cの宝庫。Cは水溶性で貯蔵できないから日々コツコツ摂ろう。
ビタミンDは鮭、イワシ、アジといった魚介類に多い。タンパク質も摂れて一挙両得。舞茸、干し椎茸、キクラゲといったきのこ類からもDは摂れる。Dは脂溶性で貯められるのが特徴。
ビタミンKは体内の腸内細菌でも作られるが必要量は満たせない。小松菜、ホウレンソウ、モロヘイヤ、ブロッコリーといった緑黄色野菜、納豆などに含まれる。Kも脂溶性で貯められる。
取材・文/井上健二 イラストレーション/加納徳博 取材協力/藤澤孝志郎(Dr.孝志郎のクリニック院長) 参考文献/『世界一効率よく若返る! 1日5秒骨トレーニング!』(藤澤孝志郎著、ビジネス社刊)
(初出『Tarzan』No.760・2019年3月7日発売)