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自転車乗りのために考え抜かれたバックパック、〈レジスタント〉の《Delight》

バックパックは、まだ進化の過程にある

メッセンジャーバッグといえばあの斜め掛けの「スイング式」バッグ。この道のプロフェッショナルの間で高い信頼を得るメッセンジャーバッグブランド〈レジスタント〉代表であり現役メッセンジャーでもある木村シンイチさんも、「仕事用のバッグとしてはスイング式が最も合理的」と認めるが、一方で「スイング式バッグを長期間使用し続けると、骨格に歪みが出る場合があり、ベテランのメッセンジャーはバックパックタイプを使ってカラダを休ませるという人が少なくない」と言う。

木村シンイチさん
木村シンイチ/(きむら・しんいち)1969年生まれ。96年にメッセンジャーを始め、2001年にメッセンジャー会社〈Cyclex〉を設立。05年ブランド〈RESISTANT〉を発表。

こうした背景から約10年前よりバックパック作りに取り組んできた木村さんだが、その製作の過程にはさまざまな課題があったとか。

「自転車に乗っている人は深い前傾状態になりますが、前方を向くため、首は上がります。その際、登山用のバックパックのように上部に荷物を積み上げる構造では、後頭部がパックで干渉されてしまう。また登山用パックはウェストベルトを使い、荷重を腰で支えますが、腰を固め過ぎると自転車に乗れません。こうした問題をひとつひとつ解決していく必要がありました」

工房には驚くほど多種のパーツやクロス素材がストックされている。
工房には驚くほど多種のパーツやクロス素材がストックされている。

素材と構造の試行錯誤を繰り返し、背面部に芯材として軽く縦の屈曲に強いポリプロピレン製ボードを入れ、応力の分散を図りつつヘッドクリアランスを確保する手法に辿り着いた。しかし問題はそれだけに留まらない。

「カラダとバッグが密着する面積が広いと荷重は分散されるが、熱が逃げず暑くなる。耐水性の高い生地は重いが、薄くすると耐久性が犠牲になる。バッグ作りは常にこうした相反する複数の要素を同時にクリアし、成立するバランスを考えなければなりません」

生地には耐水性の高い不織布である競技用セイルクロスを使い、ショルダー内部には通気性の高いフィルターを圧縮して縫い付け、蓄熱を抑えて蒸れる不快さを軽減させた。ユーザーさえもどこが問題であるか気が付いていない課題を探し出し、目に見えない部分にも無数のアイデアと技術を注ぎ込む。

自転車に乗るユーザーのために考え抜かれた〈レジスタント〉のバックパック《Delight》
自転車に乗るユーザーのために考え抜かれた〈レジスタント〉のバックパック《Delight》(29,000円)。防水性と耐久性を兼ね備え、かつ軽量のディメンションポリアント社のセイルクロスを使用。
背中に密着する側の構造は「車で言えばシャシーに当たる、最も重要な部分」。
背中に密着する側の構造は「車で言えばシャシーに当たる、最も重要な部分」。

「意識しないほど当たり前になっているところにヒントがある」と語る木村さんにとって、バックパックは「まだ進化の過程にある」。


※製品情報は全て掲載当時のものです。

取材・文/井出幸亮 撮影/阿部 健

(初出『Tarzan』No.755・2018年12月13日発売)

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