ボディワークに慣れているのなら、より効果が期待できる。
漸進的筋弛緩法は、100年ほど前にアメリカの医師エドモンド・ジェイコブソンが開発した手法。ストレッチのように、カラダを動かして筋肉に働きかけるボディワークに慣れている人にとくにお薦め。
POINT|漸進的筋弛緩法の効果が期待できる例
- 入眠しても途中で覚醒してしまう傾向がある。再度入眠したい。
- 緊張、恐怖、怒りからくる心拍の増大を抑えたい。
- 過度な緊張、恐怖、怒りからくる片頭痛、肩こり、腰痛、腹痛を抑えたい(慢性・一過性)。
- 呼吸が苦しく感じる。
- 免疫力の低下を感じる。
※医学的な問題を抱えているケースでは医師の助言の下に実施すること。
「緊張を緩めて力を抜いてくださいと言われても、日頃から緊張ばかりしているとどのような状態だと力が抜けているかわかりにくい」(フィジカルトレーナーの中野ジェームズ修一さん)
「そこであえて一度グッと力を入れてから、ストンと抜いて弛緩を感じやすくし、爪先から頭のてっぺんまで全身の筋肉を漸進的に(順を追って段階的に)緩めるリラクセーションテクニックです」
HOW TO|漸進的筋弛緩法を行ううえでのポイントと注意
- 緊張させる時間は15〜30秒ほど。その際、6〜7割の力に留める(それ以上の力を出すと緊張が抜けにくくなる)。
- 一気に脱力させてからは30〜60秒間弛緩する(長く弛緩するとリラックスが意識しやすくなる)。
- 息を吸いながら力を入れて、吐きながら力を抜く。力を入れたときと抜いたときの感覚の違いを感じるようにする。
- 弛緩している間、お腹に空気を入れるように鼻から深く吸い、お腹を凹ますように口から長く息を吐くゆったりした腹式呼吸を行い、リラックスした気分を味わう。
- 上記を意識して、緊張と弛緩を繰り返す。
今回は就寝前を前提にしているが、日常生活のオフタイムに取り入れて行うと緊張が取れやすくなる。全部で16ステップ。簡単だから試してみよう。
01. 導入
ベッドやマット上で仰向けになり、鼻から息を吸って、口からゆっくり細く長く息を吐く。これを繰り返し、気持ちを落ち着かせる。
02. 手
- 両手のこぶしに力を入れる。
- 力を緩めてリラックスする。
03. 前腕
- 両手のこぶしに力を入れたまま、手首を内側に曲げる。
- 力を緩めてリラックスする。
04. 上腕1
- 両方の肘を深く曲げ、両腕でカラダの脇を締めつけるように力を入れる。
- 力を緩めてリラックスする。
05. 上腕2
- 両手を握り締め、肘を突っ張るようにして腕全体を上に伸ばす。
- 力を緩めてリラックスする。
06. 足・下腿
- 爪先を上に向けてふくらはぎに力を入れる。
- 力を緩めてリラックスする。
07. 太腿
- 膝を立てて、踵で床を踏みつけるように膝と太腿に力を入れる。
- 力を緩めてリラックスする。
08. お尻
- お尻の周りの筋肉をすぼめるように力を入れる。
- 力を緩めてリラックスする。
09. 腰
- 腰を反らせてお腹を前に押し出すようにして力を入れる。
- 力を緩めてリラックスする。
10. 腹
※ここから枕を使うと行いやすい。
- ヘソを覗くように上体を軽く起こして腹筋に力を入れて緊張させる。
- 上体を戻して力を緩めてリラックスする。
11. 胸
- 両肩をできるだけ広げて、背骨の方へ引き寄せながら、肘で床を押して胸いっぱいに息を吸い込んで力を入れる。
- 力を緩めながら息を吐いてリラックスする。
12. 肩
- 背すじと首すじを伸ばしたままで、両肩を耳の方へ引き上げ、首をすくめるように力を入れる。
- 力を緩めてリラックスする。
13. 首1
- 頭を右側へ起こして緊張させる。
- ゆっくり力を抜きながら、元の位置に戻す。
14. 首2
- 頭を左側へ起こして緊張させる。
- ゆっくり力を抜きながら、元の位置に戻す。
15. 首3
- 顎を上に突き出すように、頭を後ろに反らせて緊張させる。※頸椎に痛みを感じるほど反りすぎないように注意!
- ゆっくり力を抜きながら、元の位置に戻す(繰り返す)。
16. 最終
ゆったりした呼吸を繰り返し、弛緩した感覚をじっくり味わい、そのまま眠る。すぐに眠らないときは次の消去動作を行う。10、9、8…とゆっくり0までカウントダウン。手を閉じたり、開いたり、肩を回したり、首を回したりする。カラダの感覚が元に戻ったら、眠りの準備を整える。