犬より人の運動になる!? 楽しくて、やがて体力もつくディスクドッグ入門
フライングディスクを人が投げ、犬がキャッチ! 〈ディスクドッグ〉は、やってみると面白いのはもちろん、飼い主にとってもいい運動になる。日本全国から愛好家たちが集まる競技会に行ってきました。
取材・文/神津文人 撮影/石原敦志 イラストレーション/阿部伸二 取材協力/NDA(ナショナル ディスクドッグ アソシエーション)
(初出『Tarzan』No.750・2018年9月27日発売)
飼い主が投げたディスクを、犬がキャッチして飼い主の元へと運んでくる。ディスクドッグは、犬と人が一緒になって楽しみ、遊べば遊ぶほど犬と人との関係の深まりを感じることができるアメリカ生まれのスポーツだ。
日本では現在、いくつかの団体が定期的に競技会を開催。全国各地から愛好家たちが集まり、ディスクドッグに興じているという。
そこで、NDA(ナショナル ディスクドッグ アソシエーション)が主催する大会を覗きに行ってみると、100チーム以上エントリーするほどの大賑わい。ディスクを華麗にキャッチする犬の姿を見ていると、自分もやってみようかと思えてくる。必要なのはディスクだけというシンプルさもいい。
ゲームは大きく分けて2種類。一つは〈ディスタンス〉と呼ばれる、投げて取るプレイだ。フルサイズのコートは全長60m、幅が24〜30m。スローイングエリアからの距離と、キャッチの仕方によって点数が決められている。
飼い主が投げたディスクを犬がキャッチしてスローイングエリアまで戻ってきたら、再びディスクを投げる。これを繰り返し、1分間で何ポイント獲得できるかを競うものだ。
もう一つが〈フリースタイル〉。2分間のフリー演技と、1分間のディスタンスを行い、合計点の高い上位5チームが決勝フリー演技を行う。フィギュアスケートのようなイメージだ。
フリー演技は、飼い主が選んだ音楽をかけながら複数のディスク(10枚まで使用可能)を使って行われ、技の完成度や、演技の華麗さを競う。
競技会といっても、基本的には人と犬とのディスク遊びの延長。ボーダーコリーが中心ではあったが、犬種はさまざま。トイプードルや柴犬、ミックスでの参加者もいる。愛犬家たちによる和気藹々とした運動会といった様子だ。
ディスクを追いかけてはしゃいでいる犬たちはとにかく楽しそうだし、飼い主にも結構な運動量が求められる。散歩のついでに、または自宅の庭やガレージで、ディスク遊びにチャレンジしてみてはいかがだろうか。愛犬の思わぬ才能を発見できるかも?
飼い主には、どんな運動効果が?
「ディスクを遠くまでコントロールして投げるには、下半身の安定と肩関節の柔軟性が必要でしょう」と語るのは、フィジカルトレーナー・坂詰真二さん。
「フリースタイルの演技では、総合的な体力が求められそうです。脚を障害物にするにせよ、踏み台にするにせよ、片脚で姿勢を維持するバランス能力が鍛えられますし、踏み台にする場合は、犬の体重の3倍ほどの負荷がかかるでしょうから、下半身の筋力も重要です。競技会もそうですが、普段の練習のほうが飼い主さんにとって運動になりそうですね」
「犬のポテンシャルを引き出そうと思ったら、飼い主さんが動けなければいけません。ボクシングのミット打ちのようなイメージでしょうか。ミットを持つ側といえる飼い主さんがフラフラしていたら、犬も思い切ってカラダを預けられません。また、一緒にディスクの追いかけっこをすると、いい有酸素運動にもなるでしょう」。