〈FOOT WORKS〉のオーダーメイド・インソールは、身体が本来あるべき体勢になるように導いてくれる
取材・文/井出幸亮 撮影/阿部 健
(初出『Tarzan』No.755・2018年12月13日発売)
人間の頭は背骨に、背骨は骨盤に、骨盤は大腿骨や脛骨に乗っているわけだが、骨、筋肉、内臓含め身体のすべての重量を支えているのは、(立位の場合)地面に接している「足の裏」のみ。ということを考えると、身体のバランスを考えるうえでいかにこの部分が大切であるかは自ずと分かるだろう。
「腰痛や坐骨神経痛、肩こり、偏頭痛、冷え性やむくみなどの大きな原因のひとつは、姿勢にある。これを正しい姿に導くには、最も体重がかかる足の状態を変えていかなければいけません」と話すのは、東京・下北沢でオーダーメイドインソールを製作する〈FOOT WORKS〉の森健さん。
アスリート用インソール製作の第一人者だった父のもとで経験を積み、数多くの人々の身体を見続けてきた森さんは、「誰もが身体のどこかが歪んでいる」と指摘する。足型を転写する専用の器具で調べると、大抵の人は重心が左右・前後どちらかに偏っているという。
「足型を見れば、骨盤の歪みや筋肉量の左右差など、身体のクセが分かります。こうした資料やお客さんとの対話を元に、痛みや違和感の原因を突き止めていきます。
ただし、ただ足型通りにインソールを作ればいいかといえば、そうではないんです。歪んだ足の形にぴたりと沿うものを作れば、フィット感はあるかもしれませんが、歪みをそのまま温存し、助長することになる。僕が作るのは、身体が本来あるべき体勢になるように導く、ある種の補正器具としてのインソールなんです」
ドイツ製のソールにEVA(樹脂発泡体)を貼り、グラインダーで削る。繊細な調整が必要な作業だ。こうして世界にひとつだけの自分用インソールが完成するが、「これだけですべてが解決するわけではない」と森さん。
「“歯医者には行くけど普段の歯磨きはしない”という状態では、根本的な改善はあり得ませんよね。なので、身体のクセに応じた立ち方や歩き方など、生活の中での身体の使い方の指導も行います。
またインソールの効果を最大限に活かすオーダーメイドシューズも製作しています。生活全体の中で足の状態を意識していけば、必ず身体に変化が感じられるはずです」
※製品情報は全て掲載当時のものです。