肝臓の身になって解決するお酒の疑問。早く酔いを覚ますには? 二日酔いの脱却方法とは?
お酒のトラブルとセットで語られる臓器が「肝臓」。黙して地道に働くその活躍ぶりを知れば、あなたはきっと、今以上に労りたくなるはず! 好きだからこそ気をつけましょう、「肝」に優しいお酒の飲み方。
取材・文/鈴木一朗 監修/高山忠利(日本大学医学部消化器外科教授)
(初出『Tarzan』No.599・2012年3月22日発売)
早く酔いを覚ますには、どうすればいいのか?
飲酒後のアルコール血中濃度のピークは30分〜2時間で表れ、その後、直線的に下がっていく。
分解のスピードは個人差が大きいのだが、男性では平均1時間に9g、女性では6.5gぐらいといわれる。ビール中ビン1本にはアルコールが20g入っていて、これを分解するのに男性では2.2時間、女性では3時間程度かかるわけだ。
アルコールは呼気や汗からも排泄されるが、基本的には肝臓の酵素によって処理される。ということは、たとえば、サウナで汗をかいて抜く方法は間違い。
発汗から排泄されるアルコールはごくごく微量。これによって酔いが覚めるとは考えられない。それよりも、酒を大量に飲んでからサウナに入るのは、心筋梗塞や狭心症の発症の他、脳動脈瘤を破裂させるリスクが高い。やめてほしい。
また、大量の水を飲む、というのもある。確かに、酒を飲んだ後は、アルコールを分解するために体内の水分が使われ、利尿作用も促進されるので、飲むことは重要。だが、これによってアルコールが分解されることはない。
飲んだ以上は肝臓に任せて時間を待つというのが正解だ。
最悪トラブル二日酔い、その脱却方法とは
二日酔いにならないための絶対的法則は「飲みすぎないこと」。肝臓は時間当たり分解できるアルコールの量が決まっている。日本酒2合なら7時間以上、ビール大ビン1本でも最低4時間は必要といわれている。
ドライバーの飲酒規制が強化されている今、あるタクシー会社では、出勤時にアルコールの呼気検査をすると、日本酒の場合は8時間以上経過しないと反応が消えなかったという。そんなに長い時間肝臓は働き続けるのだから、どれほど疲弊するかは、想像できるだろう。
節度ある1日の飲酒量はエチルアルコール換算で20gほど。ウイスキーならダブル1杯、ワインはグラス2杯、日本酒なら1合、25%の焼酎なら0.5合程度だ。また、はしご酒をしても深夜まで飲まないことで、分解の時間を作るのも予防法だ。
さらに、つまみは高タンパク低脂肪のものをチョイスする。タンパク質は肝臓にとって必要不可欠の栄養素。逆に脂肪は、肝臓にとって負担となる。枝豆、豆腐などがいい。
また、シジミは肝臓に効くといわれるが、逆に肝臓を悪化させる危険がある。鉄が溜まる鉄沈着が起きると肝臓が線維化してしまい、肝機能が低下する恐れが出てくるのだ。シジミは鉄分が多いので、気をつけたい。
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