結局、近眼&老眼には抗えない?
日々の目の疲れを取れれば避けられることかもしれないが、近視になる原因は遺伝要因と環境要因があるといわれており、軽度の近視は環境要因が強いとされている。
理由はスマホなど近くを注視する機会の多さ。もちろん顔を本に近づけての読書も一因だ。
目は毛様体筋の伸縮によって遠近のピントを合わせるが、近くばかりを見ていて眼軸長が伸びてしまうと、ピント合わせができなくなって近視からの回復はほとんど期待できなくなってしまう。
一方の老眼は、誰にも起こり得る眼の老化現象である。代表的なのはレンズの役割を果たす水晶体が加齢により徐々に弾力を失い、網膜でのピント調節がうまくいかなくなる症状。すると、近くを見ようとすると視界がぼやけてしまうのだ。
また毛様体筋が衰えたり、瞳孔の大きさを調節する虹彩という筋肉の縮小により薄暗い場所で見にくくなるのも老眼の特徴だ。
しかしスマイル眼科クリニックの岡野敬院長はこう話す。
「近視も老眼も、深刻に考える必要はありません。目は悪くなったら眼鏡でカバーできますし、ライフスタイルに合わせてその人に本当に必要な“いい目”を作ってあげればいいだけのこと。視力信仰は年齢を経たらあまり意味のあることではないと思います」
だったら、目をどうやってサポートすればいい?
今はコンタクトレンズだけど、だんだん取り扱いが面倒になってきた。そんな理由で眼鏡に移行するケースは多いはず。
実はこれ、目にとってはいいことで、コンタクトレンズの装用を長期間続けていると、角膜の最も内側にある角膜内皮細胞が酸素不足になって死滅してしまう。正常値は3,000個(/平方ミリメートル)だが、これが2,000個以下になったら眼鏡での生活を、と岡野先生。
というわけで、やってきたのは街中にある眼鏡ショップ。タイプもよりどりみどりだし、30分程度で作れて、何よりリーズナブルなのがいい。とりあえずここで作るか。でも、ちょっと待った。
「近年増えた処方箋なしでオートフラクトメーターという機器による検査だけで眼鏡を作れるショップもあります。しかしこれはあくまで簡易的な検査方法でしかなく、使っているうちに見えづらさを感じることがあります。それを長期間使い続けていると、ピントを調節する毛様体筋が余計に働く結果となり、目が疲れやすくなってしまう。またフレームなど眼鏡自体の作りが弱くてすぐ破損したり、最悪の場合レンズに歪みがあるケースも報告されています」
岡野先生は、多少面倒でも眼科で処方箋をもらい、目や鼻の高さ、顔の形などを踏まえてしっかりフィッティングしてくれる眼鏡店で作ることをすすめる。眼鏡は寝る時間以外必ず使うものだし、ましてや初めて作るならなおさらだ。
「せっかく作るなら、紫外線をカットするのはもちろん、さらに付加価値のついたレンズを。おすすめは東海光学の《ルティーナ》。紫外線やブルーライトなど刺激の強い光を吸収し、活性酸素を無害化する役割を持つ目の色素、ルテインの損傷を抑えてくれます」
目のサポートといえば、最近テレビCMで《ハズキルーペ》をよく目にする。老眼鏡に近いイメージがあるけど、実際のところは?
「老眼鏡は目の調節機能を助け、近くにピントを合わせるもの。ハズキルーペは簡単に言うと拡大鏡で、見たいものを拡大します。つまりルーペは、老眼鏡をかけたうえで使っても、眼鏡をかけなくても細かいものを見やすくしたいときに使うのもOK。眼鏡型なので両手を自由に使えるのがメリットです」
眼鏡なんてどれも一緒でしょ、そんな考えはとりあえず捨てるべき。目を的確にサポートし、“見る力”を養ってくれるタイプを。価格に流されないように。