街の中心からすぐ行けるトレイルってどこでしょう?
取材・文/内坂庸夫 撮影/石原敦志 トレイルランナー/山下晃和
(初出『Tarzan』No.741・2018年5月17日発売)
県庁からバスで20分、静岡市内の稜線トレイルです
2005年に雑誌『ターザン』でトレイルラニングの連載ページを始めてる。たくさんのトレイルを見つけ、つなぎ、試走し、写真とともに紹介してきた、外国も走ってる。その数、全部で100を超える。でも、こんなトレイルははじめてだ、びっくりだ。
静岡県に縁があって南アルプスの井川のコースを紹介したのが前回。じゃあ、今度は静岡市街に里山ふうなトレイルはないもんか?と地図を広げてみると、えええ!?
市内ど真ん中に細長ーい山があるじゃないか。静岡市のシンボルとも言うべき家康公ゆかりの駿府城公園(県庁も市役所もあるよ)の横、浅間神社からむくむくとその尾根は立ち上がり、ほぼ一直線、真北に向かって、盛り上がったり凹んだりしてゆるゆると延びてゆく。
新東名高速道路のあたりで尾根は急に低くなって、鯨が一頭は入りそうな大きな池(鯨ヶ池)に潜り込んでしまう。
稜線にはきちんとトレイルが整備されていて賤機(しずはた)山ハイキングコースとの名称、いわれはコース後半の標高171mの山からだ、かつての賤機山城の城跡が残る。そしておおよそ見当はつくでしょう、その通り、眺望がみんごと。西に安倍川、東に静岡や清水の街を見下ろす超縦長の展望台だと思ってもらおうか。
実走8.12km、撮影しながらで3時間半だから、どんなにゆっくり走っても半日でおつりがきちゃう。実にお手頃、静岡のランナーが羨ましいなあ。
さらに。この稜線を走ってくださいな、と言わんばかりに県庁前から鯨ヶ池近くを経由するバス路線がある。つまり鯨ヶ池そばまでバスで行き、この稜線を北から南に(下り基調になる、なおうれしい)走って市内繁華街に戻れるのだ。あ、通勤ランしてる人、いるかも。
静岡市内の稜線コースマップ
さあ行くよ。バス会社の名前は〈しずてつジャストライン〉、駿府城公園の南側の県庁・静岡市役所葵区役所前バス停から鯨ヶ池入口へ、20分くらい乗るよ。バスに乗ればすぐわかる、進行方向右側にずーっと長い長い山、これです。
鯨ヶ池入口バス停で降りて、住宅地の中を東へ、用水(鯨ヶ池からだ)に沿って進むと5分もかからず大きな大きな鯨ヶ池、たくさんの釣り人が糸を垂れている。
おっと、今回もGPSデータを用意してます、ページ下からどうぞ。で、フィッシングセンターを過ぎると右側にトレイルの入り口、浅間神社のサイン、これです。
急階段&竹林を進むと、あれ、舗装路、両側に茶畑。これでいいの?と不安に思うけど、ちょい先の右側(一段高いところ)に浅間神社のサイン、これです。見逃しやすいのでご注意ください。
で、上ったり下りたりしながらうねうねと稜線を進むのだけど、とにかく茶畑の連続。前半は西側の安倍川しか望めないけど、高度が上がるにつれて東の市街もどどん、真正面(南)は太平洋。いやあほんとに細長い展望台トレイルです。
そして迷うはずのない一本道、行程の半分くらいからみかん畑も登場してきます。あ、お茶もみかんも手の届くところにあるけど、触れてはいけませんよ。生産者さんたちの好意でこのトレイルは成り立っているのですから。
6km半あたりに賤機山城跡、尾根の上の細長い城だったらしい、説明のボードが立ってます。城跡の先に公園、ここでトレイルはおしまい。あれ古墳があるよ、と思ったら終点の浅間神社は古墳横の急階段を下りたところでした。立派な神社です、道中の無事を報告&お礼のおまいり、二礼二拍手パンパン。
おなかペコペコ、ここはしぞーか、おでんでしょ。おでんと焼きいもの名店〈大やきいも〉が浅間神社からジャスト1km、これもまた一本道。なあんだ、駿府城公園のすぐ北側じゃん。お茶とみかんとおでん(やきいもも)、静岡名物トレイルでした。
〈大やきいも〉
静岡市内の稜線コースマップ
▼今回のGPSコースデータは以下よりダウンロードできます。
https://magazineworld.jp/tarzan/tarzan-trails/tarzan-trails-741/
GPSデータは「.gpx」と「.kml」の2種類があります。GPS時計各ブランドのアプリで読み込めます。GPS時計がなくても、『グーグルマップ』の「マイマップ」なら「.gpx」「.kml」どちらでもOK、スマートフォンでコースを持ち運べます。「.gpx」はMacアプリ『トレイルノート』で開けます。「.kml」はWinでもMacでもテキストとして書き出し、まるごとコピーしてwebサイト『ジョギングシミュレーター』に読み込ませると、自分のコースとして設定できます。