「走る魅力? 特にないです」それでも大会に出場する堀江貴文さんのレース論

普段からトレッドミルで走り、レース経験も豊富な実業家・堀江貴文さん。堀江さんは何を思い、感じながら大会に出場するのか。『ターザン』編集部がお話を聞いたところ、気持ちが良いほどに明確な回答が返ってきました!

取材・文/門上奈央  写真提供/オールスポーツコミュニティ

(初出『Tarzan』No.751・2018年10月11日発売)

走る魅力? 特にないです

──まずは堀江さんにとってのランの魅力を教えてください!

僕にとっては特にないです!

──(絶句)。過去に4度もマラソンに出られてますよね?

『ホノルルマラソン』は、毎年マラソンに出ているクライアントにずっと誘われてたので「しょうがないっすね〜、出ますか!」と。オトナのお付き合い(笑)。『湘南国際マラソン』もネット動画の企画でしたし、『東京マラソン』も当時ラジオを一緒にやっていた茂木健一郎さんと競って出ただけ。自発的に出たことはないです!

──きっかけは何であれ、いざ出ると楽しかったレースは?

全然楽しくない。ただただ辛い。マラソンは基本キツいですよ。30kmまでは何とかなっても、それを越えるとね…。「早く終わらないかな」という感情しかない。

──走るとビジネスのアイデアが思いつくという方もいます。

ランの最中にアイデアなんて浮かばないです! 辛いので。

──それでも完走とはさすが。忙しいなか、どんな練習を?

僕はいきなり本番。『アイアンマンレース』は練習として「オリンピックディスタンス」に出ましたが。持論ですけど、練習は時に危険ですよ。トライアスロンに関連する死因の1位は本番中のスイム、2位は練習中の自転車の事故らしい。頑張りすぎると危ない。

堀江貴文さんのRACE HISTORY
2001.12 ホノルルマラソン
2013.7 宮崎シーガイアトライアスロン
2014.7 宮崎シーガイアトライアスロン
2014.7 湘南国際マラソン
2014.11 虹の松原トライアスロンin唐津
2015.6 宮崎シーガイアトライアスロン
2015.8 アイアンマンコペンハーゲン
2016.2 東京マラソン
2018.7 宮崎シーガイアトライアスロン
著名なマラソンはひと通り網羅。上記以外にもトライアスロンは頻繁に出場。直近でレースに出る予定は「ないです(即答)」。

──ただ練習しないとしても本番前日は何かしら調整してませんか? 断酒とか。

前日のお酒…やめないな(笑)。『アイアンマン』の前は控えましたけど。ランだけでも42.195km、総距離226kmですから。

──ものすごい達成感では。

あまり関係ないな。「多少食っても大丈夫かな」程度。

──普段から食事制限を?

太ってカラダが重くなると普段の生活が大変ですからね。

──楽に走るための工夫は?

甲高幅広族なのでカスタムシューズがマスト。種類が多いので僕は〈アディダス〉一択ですね。

レース中、人に話しかけるな!

──いろいろ教えてもらえて嬉しいです。レースで堀江さんに会えたらつい声をかけてしまいそう。

超絶ウザい。勘弁してください。過去のトライアスロンでも泳ぎながら声かけてくる人に怒りました。「話しかける暇あったら真面目に泳げ」と。声かけてくるのは僕を追い抜いた人で、僕に抜かれた人は絶対言わない。抜かれるのがショックらしい。とにかく声をかけられるのは鬱陶しいです。応援の人も申し訳ないですが「声かけてくれるな」と。マラソンもトライアスロンも、僕はいつだって集中して走っているので!

──ス、スミマセン。声かけません。集中がそこまで大事とは。

だってこっちは痩せようと思って辛い運動してるわけで一生懸命やらないと。…分かった。皆、一生懸命やってないんだ。人に声かけるのは走りに集中してないからで、全然力を出し切ってない。「ランが気持ちいい」とか言う人の気持ち、僕には全く分からないっす。応援でよく言われるのが「楽しんで」。ドコが楽しいねん! 風景? 見てる余裕ないわ!

堀江さんに学んだ、ランレース3箇条

  • ランニング中は己に集中せよ。
  • シューズはカスタムに限る。
  • 練習では頑張りすぎるな。

教えてくれた人

実業家・堀江貴文さん

20181016rm_EK_0204

ほりえ・たかふみ/1972年生まれ。普段はトレッドミルで走る(5分走って5分歩く。これを時間が許す範囲で反復。歩きながらメールチェックも)。中高時代、片道約20㎞を30分かけて自転車通学。大学では自転車部に所属。