• 食事はランの“3時間前”が鉄則! 快適に走るための補給講座
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2018.10.10

食事はランの“3時間前”が鉄則! 快適に走るための補給講座

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全てのランナーに共通する食事の鉄則は「水分補給をしっかり行うこと」と「なるべく胃を空にして走ること」。この2つをしっかり遵守して気持ちよく走るために、必要な4つのルールを確認しよう。またページ後半ではトラブル別に、チャージすべき栄養素も提案します!

ランナーの食事について考える場合、その目的に合わせて時間と内容を変える必要がある。ダイエット目的のランナーも、レースで成績を狙うランナーも、共通事項は水分補給を忘れずに行うこと。そしてできるだけ食べ物を消化した状態で走ること。下でそのための4つのルールを紹介しているので、参考にしてみてほしい。

「人のカラダは“出す”と“入れる”の2つのベクトルしかありません。走る前は、外にエネルギーを出しやすくする環境を整えることが大切。食事は“入れる”行為なので、がっつり食べると外へのベクトルを阻害することになる。走る前は必要最低限に抑えましょう」(管理栄養士の石川三知さん)

さらにページ後半では、トラブル別に不足しがちな栄養素をご紹介。

「日頃走った後や最中にどんな症状が出やすいかを思い出してみてください。どう疲れたかによって、自分のカラダの弱い部分が見えてきます。症状に合わせてケアをして、疲れ知らずのカラダを作りましょう」

正しい補給でランのパフォーマンスを高める

ルール1.【ダイエット目的ラン】

いつもの食事は3時間前に済ませる。

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ダイエット目的の場合は、「空腹ではなく、胃の中に何もない状態」で走り出すことが理想的とされている。つまり、食べ物が消化吸収された状態がベスト。走り出す時間から逆算して、普通の食事を摂るなら3時間より前には済ませておきたい。

例えば夜9時から走り出す場合、夕食は6時頃までに食べる。仕事中で難しければ、ランチをしっかり食べて、走り出す前に補食(ルール2を参照)を摂るのもアリ。ランチから多少時間が経っていても、水分補給さえすればそのまま走り出しても問題ない。ただしLSDで長距離を走る場合は、エネルギー切れを防ぐために途中で補給することもお忘れなく。

ルール2. 【ダイエット目的ラン】

エネルギーになる補食は30分前を目安に。

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食事から走り出すまでの間隔がかなり空いてしまった場合、あるいは朝の空っぽの胃の中に何かを入れて走りたいときは補食を活用しよう。ここでいう補食とは、糖が主体でエネルギーに変わりやすく、消化のいい固形物。バナナ、おにぎり、カップゼリー、シリアルバーなどがこれに当たる。

食べるタイミングは、走り出す30分〜1時間前。固形物を食べてすぐ走り出すと、まだ消化していないものが動いて不快感を生み出してしまうためだ。朝起きてすぐに走り出したいという人は、果汁100%のオレンジジュースやグレープフルーツジュースを飲んでから走り出すのもいいだろう。

ルール3. 【ダイエット目的ラン】

500mlの水分を数回に分けて飲む。

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忘れちゃいけないのが、水分補給。特に冬場は空気が乾燥していて、皮膚や粘膜から水分が奪われるので渇きを感じやすいため、こまめに水分を摂ること。“こまめに”というのは具体的にいうと、走り出す時間の1時間前から、500㎖の水分を数回に分けて飲み切る。この間はまだカラダを動かしているわけではないので、白湯やお茶など温かいものでもOK。冷たいものが長時間体内にあると深部は冷えてしまうので、内臓に負担をかけないためにも小分けにして飲むのが望ましい。

レースで成績を狙うレベルのランナーなら、エネルギーを補う意味で、走り出す20分ほど前からスポーツドリンクに替えるとなおよし。

ルール.4 【レース目的ラン】

素早く消化吸収されるジェルは20分前に。

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消化吸収が早く、素早くエネルギーに変わるジェルは20分前に摂っておこう。直前でもいいのでは? と思うかもしれないが、少し前に摂るのがポイント。というのも、ジェルを口にしてからちょうど20分ぐらい経つとインシュリンが分泌され、食べた糖を優先的にエネルギーにする。すると、ガソリンを注入されたように、最初からエンジン全開で動けるというわけだ。

長距離走やタイム走などハードなメニューをこなすガチRUN派は、エネルギー切れを未然に防ぐために、水分と一緒にジェルを携行することを忘れずに。練習の強度にもよるが、30分に1回を目安に補給しよう。

トラブル別・栄養素補給のコツ

ランニングを継続していると、何かしらのトラブルに直面するケースは少なくない。もしそれが栄養補給で改善できるものであれば、積極的に食事を見直してトラブルから脱却しよう。日頃からの予防で、ランニングの質は高められるのだ。

脚が攣りやすい人は、情報伝達に異常あり!?

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骨格筋は本来自分が思った通りに動かすことができるが、脚が攣ってコントロールが利かないということは、情報を運ぶ神経伝達物質が足りていない可能性が高い。神経伝達物質を作る栄養素の一つに緑の葉物や豚肉に多く含まれるビタミンB群がある。

情報のやりとりを円滑にするには、乳製品から摂れるカルシウムとナッツから摂れるマグネシウムも必要。まれに食事にきちんと気を配っていても脚が攣るということがある。それはもしかすると白砂糖たっぷりの甘いもの、お酒、揚げ物などを同時に摂取することで、必要な栄養素を減らしてしまっているのかもしれない。

壊れた筋肉を修復して、筋肉痛を防ぐ。

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筋肉痛が怖いという人は、ウォーミングアップを入念に行うことが最も大切。栄養面で強いていうなら、運動により壊れた筋肉の修復を促すために、日頃からタンパク質をきちんと摂ること。そして抗酸化作用のあるビタミンCを摂ること。

朝ラン派の人は前の晩、夜ラン派の人は朝ごはんのタンパク質の量を普段の1.2〜1.5倍の量に増やす。ただしタンパク質は消化吸収に時間がかかるため、走る時間に近づくほど、豆腐、納豆、ヨーグルトといった比較的消化しやすいタンパク質を選ぶといい。一番消化に悪いタンパク質は揚げた肉。運動前の食事では、揚げ物を控えよう。

息が上がりやすい人は、鉄の多い食事で貧血予防。

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息が上がるということは、寝不足や水分不足など原因はなんであれ酸素が足りていない状況だ。あまりにも息が上がって苦しい人はまず貧血を疑おう。貧血の症状で病院に行くと、血液検査ができる。もしも総タンパクの数値が基準値の平均よりも下だった場合、タンパク質の摂取量を意識的に増やすといい。

血液中の鉄が足りない場合は、赤身の肉や海藻など鉄分の多い食事を心がけること。そのとき、ビタミンB群やCを一緒に摂ると鉄が吸収されやすくなる。また、お茶やコーヒーに多いカフェインは鉄の吸収を抑えてしまうため食事中と前後30分は摂取を控えよう。

エネルギー切れには炭水化物の補充が必須。

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筋肉の中に蓄えられている糖(筋グリコーゲン)が足りなくなると、エネルギーとして使用できる材料がなくなり、カラダはガス欠状態になる。スコンと力が抜けるように脚が止まった経験がある人は、グリコーゲンを貯蔵する力が弱まっているかもしれない。

解決策としては、エネルギー源である炭水化物をきちんと摂ること。ただし、炭水化物は単体で摂っても筋グリコーゲンに変換されないのが欠点。代謝を円滑にして糖をエネルギーに変えやすくするビタミンB群や、糖を貯蔵する速度を上げるクエン酸を一緒に摂るといった工夫が必要だ。

「含水」を活用して、頭部の違和感に対処する。

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走っているときの頭部(特にこめかみ付近)の違和感は、水分不足が原因で起きている可能性が高い。そうなると脱水を招く恐れもあるため、事前にしっかり水分補給をすることが大切。ポイントは、走り始める直前に慌てて摂るのではなく、時間に余裕を持って十分な水分を補給すること。

ひとくちに水分補給といっても、「飲水」からの摂取と「含水」からの摂取がある。含水とは、果物や野菜、汁物などの食べ物に含まれる水分のこと。これらは水だけでなくビタミンやミネラルも同時に摂取できるため、スープボウルを大きくするなどの工夫でうまく取り入れよう。

水分補給のコツを押さえ、胃部の違和感をなくす。

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飲んだ水分の移動や吸収が遅く、消化器官に残っていると胃に違和感を感じることがある。これを解消するには、水分補給の「質」「量」「タイミング」が大切。まず「質」は、スポーツドリンクを使用すること。胃から腸への移動は真水が最も速いが、ナトリウムやカリウムや糖があると腸で吸収されるスピードが速い。

続いて「量」は、1回100〜200mlを目安に。これ以上になると腸で吸収する速度の上限を超えて違和感が生じる原因に。最後の「タイミング」は、喉がカラカラに渇く前に摂取すること。目安は30分以内の間隔。走る1時間前から少しずつ摂っておこう。

取材・文/黒澤祐美 イラストレーション/どいせな 食事監修/石川三知(Office LAC-U)

(初出『Tarzan』No.712・2017年2月9日発売)

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