最新スポーツジムの勢力図。あなたに合うのはどこだ!?
取材・文/井上健二 イラストレーション/高橋将貴 監修/白戸拓也(フージャース ウェルネス&スポーツ)
(初出『Tarzan』No.748・2018年8月23日発売)
ひと口にジムといっても、世の中にはいろいろなタイプがある。先駆けとなったのは、総合ジムと公共ジム。ジムの百貨店的な立ち位置であり、間口が広くてハードルが低く、多様なトレーニングが行えるように工夫されている。
ひと昔前までの日本にはジムというとこの2タイプくらいしか見当たらなかったが、現在ではそこから派生した特色のあるジムがあちこちに登場してきた。1対1のパーソナルトレーニングに的を絞ったパーソナルジム、男子禁制にした女性専用ジム、スタジオやプールなどを省いてコストを抑えた分、24時間オープンにしたコンビニジムなどである。
ジムには施設や設備といったハード面と、トレーナーやプログラムといったソフト面があり、ハード×ソフトでパフォーマンスが決まる。
ジムトレを続ける最大のポイントは、自らの目的や好みにぴったり合ったハードとソフトを備えたジムを見つけ出すことだ。ここではジムを6タイプに整理して解説する。それぞれの特徴を踏まえ、ベストなところを見つけてジムトレを続けよう。
1. 総合ジム
…ゴールドジム、コナミスポーツ、ティップネス、セントラルスポーツ、ルネサンス、メガロスなど
やりたいこと、全部入り。仲間もできて続けやすい
ジム業界でメジャー級の絶対王者と言えるのが、大手の総合ジム。30年以上の長い歴史を誇るジムの源流だ。
“総合”という形容が示すように、有酸素運動用のカーディオマシン、筋トレマシン、フリーウェイト、スタジオ、プール、大浴場などを揃えており、タンニングルーム、リラクセーションルーム、ゴルフレンジなどを完備する店舗もある。
全国展開しており、会員種別によっては全国どこでも使える。常駐インストラクターや契約パーソナルトレーナーによる指導も手厚い。その反面、会費は月1万3,000円ほどと少々高め。
グループエクササイズなどを通じてトレーナー、スタッフ、メンバー同士と人的交流が芽生えるため、退会率は低くてジムトレが続きやすい。総合ジムの退会率は月3〜4%に留まるが、人的交流が少ないコンビニジムは退会率が月10%近くに達する場合もある。一人だと続かない人はぜひ。
2. 公共ジム
…豊島区池袋スポーツセンター、東京武道館、武蔵野市総合体育館など
1回数百円で使える。ご近所にあれば超ラッキー
スポーツセンターや体育館といったネーミングを掲げ、各地の地方自治体が運営している施設が公共ジム。
最大の魅力は何といってもコストの安さ。パブリックな性格上、幅広い層が気軽に使えるように入会金や月会費は不要であり、利用料金は1回200〜500円と破格。週2回ペースで通ったとしても、1か月3,000〜4,000円程度と破格である。
運営主体で施設と設備の中身が大きく異なるのが特徴。部活のトレーニングルームに毛の生えたようなところもあれば、近年リニューアルして都心の総合ジムも顔負けの充実ぶりを誇る場所もある。近所の公共ジムに顔を出して確かめてみよう。
総合ジムではなかなか楽しめない各種の武道、球技(バドミントン、バレーボール、卓球など)といったスポーツが体験できる施設も多い。指導員以外、個人的にパーソナルトレーナーを付けての利用を制限するところが多いので注意。
3. パーソナルジム
…パーソナルジムIPF、SAWAKI GYM、アランチャ、RIZAP、24/7ワークアウトなど
ハードよりソフトで勝負。お金をかける価値がある
ハード面よりもソフト面を重視。1対1のパーソナルトレーニングに特化しているのが、パーソナルジムである。
ビギナーは豪華な施設や真新しい設備といったきらびやかなハードに目を奪われがちだが、「どのように鍛えるか」というソフトも大切である。ことに効果的なのが、一人ひとりのニーズと特性に合わせたメニュー作成と個人指導を行うパーソナルトレーニング。同じカテゴリーに入るものの、トレーナーが個人的に立ち上げてマンションの一室などにオープンしている小箱もあれば、CMでもおなじみの〈RIZAP〉のように大々的にチェーン展開するところもあり、好みが分かれる。
マンツーマンレッスンだけにコストはそれなりにかかるけれど、オーダーメイドで丁寧なコーチングを受けながら鍛えられるので、最速で望んだボディに近づける。何年経っても結果の出ないジムトレで浪費するより、コスパは悪くない。
関連記事:脱げるカラダに挑戦する『ターザン』読者のトレーニングに密着
4. 女性専用ジム
…YWCAフィットネスワオ、RIZAP WOMAN、メガロスルフレ、カーブスなど
女子の嗜好と特性に100%応えてくれる
男性の目が気になりすぎたり、マッチョな男子たちがちょっと苦手だったりすると、繊細な女子はトレーニングに集中できない。そういうタイプが選びたいのは、女性専用のジム。メンバーもスタッフもトレーナーも全員女性だから、気兼ねなく通える。
そもそも男性と女性では求めるものが異なり、筋肉のつき方、体脂肪の減り方といった体質にも男女差がある。専用ジムなら女性のウォンツと体質を踏まえたメニューに基づいて鍛えられるから、ムダな寄り道をしないでゴールに辿り着ける。
同じ女性専用でも、中身は多種多様。1対1でじっくり教えるパーソナルタイプもあれば、ヨガ、ピラティス、サーフエクササイズ、バレエなどのグループエクササイズを行うブティックジムの女性専用版もある。この他、主に40代以降の女性の健康作り、体力作りに活用できるサーキットトレーニングを行う全国チェーンも人気を集める。
5. ブティックジム
…リーボック フィットネス ベース、オレンジセオリー・フィットネス、b-monster、FEELCYCLEなど
気の合う仲間たちと濃密な時間を楽しむ
2010年以降、ジム業界に颯爽と登場したライジングスター。何でもできる総合ジムと対極にあり、特定のトレーニングに特化したわりと小規模なジムを指す。
実施されるのは、基本的にはグループエクササイズ。総合ジムのスタジオでもグループエクササイズが開かれているが、ブティックジムでは専門に特化したインストラクターにより空間演出にもこだわったスタジオで行われる。
知名度が高いのは、有酸素運動と無酸素運動を組み合わせてハードに追い込む「クロスフィット」。この他、暗闇でボクシングを行う格闘技系エクササイズ、同じく暗闇でのサイクルトレーニング、サーフボードを使ったもの、天井からぶら下がって行うサスペンショントレーニングなど多彩だ。
料金形態も月会費で支払うプランの他、チケット制を採用するジムもある。少人数で同じ空間と時間を共有するので仲間意識が芽生えやすく、継続性は高まる。
6. コンビニジム
…エニタイムフィットネス、ジョイフィット、FASTGYM24、Fit&GOなど
全国的に増殖中。安いのには訳がある
コンビニのように365日24時間いつでも使えるジム。定休日もない。月会費は安くて8,000円くらいが主流であり、系列店なら全国的に相互利用できることが多い。
大箱の総合ジムと比べるとコンパクトで、施設、設備はやや見劣りする。プール、スタジオ、ロッカールーム、お風呂はなく、有酸素運動用のカーディオマシン、筋トレ用のマシンが主体。トレッドミルと筋トレだけでいいと割り切った人向きだ。
地域密着型で会員数500〜600人で十分黒字(総合ジムはその3〜4倍必要)。出店費用も総合ジムより1桁少なくて済む。急成長中の所以である。
施設と設備は同じ系列店でも店舗で異なるから、メンバーになる前に必ず確認しておきたい。スタッフ(ジムガード)が常駐する時間帯も限られる。彼らはジムの管理と入・退会の事務手続きが担当であり、トレーニングは教えてくれない。初心者はパーソナルトレーナーを活用したいものだ。