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この症状は中止か継続か、燃えすぎ診断でケガを防ぐ

燃えて走っていると痛みが出てくることもある。サインを見逃さずにチェックして、継続を判断すべきだ。「燃えすぎ診断」と2つの「対処法」を紹介。膝の内側、膝の外側、足の裏、ふくらはぎ、脛の5つの部位ごとに解説しています。

ランニングにケガはつきもの。走行時は歩行時の約4~6倍の重力が脚にかかるため、痛みが出るのも当然といえば当然。燃えすぎで脚に違和感を感じたらできるだけ早めの対処を。

走っていて不快感が出たら、まずはペースダウン。それでも痛みが治まらない場合は数か所ストレッチをして、もう一度歩いてみる。歩いても立ち止まっても痛みが消えない、または悪化する場合は即座にランニングを中止。

「違和感はあるけど続けられそう」という軽度の場合のみ、次の対処法に移る。痛みが出るとその局部をさすったり揉んだりしがちだが、実は原因となる場所は他に存在している可能性が高い。根治を目指すには、イラスト一番下の対処法で大元となる場所をケアしよう。

1. 膝の内側

ランニング中に膝が内側に入りやすい、または膝から下が外を向きやすい、という人は要注意。膝の内側の鵞足部(筋肉に繫がる腱が集中している部分)で、腱と骨、もしくは腱同士が擦れて痛みを引き起こすことがある。

負担がかかったままの状態で長い距離を走り続けると、鵞足炎に発展する恐れも。まずはペースダウン、続いて下の応急処置を。

燃えすぎ度チェック!

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大腿前のストレッチ(イラスト右)/膝の内側の痛みはオーバーユースにより生じやすいため、ゆっくり立ち止まり一時休憩。足の甲を持ち、腿の前側を伸ばす。
内転筋群のストレッチ(イラスト左)/続いて、腿の内側。膝の高さほどの段差に片足を乗せ、上体を前に倒す。内転筋は膝の内側の痛みと関連することが多い。

対処法1.3つの筋肉をマッサージ

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鵞足とは、坐骨から脛骨についている半腱様筋、恥骨から脛骨についている薄筋、腸骨から脛骨についている縫工筋が集まった膝の内側の部分。3つの筋肉は平行しているので絵のように脚の付け根から指で優しく圧迫。

対処法2.痛みの大元となるお尻の筋肉をほぐす

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弱化した筋肉をカバーすることで、他の部位が硬くなることがある。お尻もそう。お尻が機能していないと、膝の内側に負担がかかる。片脚を逆脚の腿に乗せてお尻を伸ばし、その下でテニスボールを転がしてほぐす。

2. 膝の外側

ランニング中に症状が頻繁に表れるのが、膝の外側の痛み。悪化するといわゆる“ランナーズニー”と呼ばれる腸脛靱帯炎に繫がる可能性もある。

膝の外側に付着する腸脛靱帯が、骨の出っ張った部分と擦れて炎症を起こしているのが原因。根治させるには、腸脛靱帯と繫がっている股関節付近の筋肉を目覚めさせることも必要。

燃えすぎ度チェック

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ふくらはぎのストレッチ(イラスト右)/縁石や階段など、道端の段差を使ってストレッチ。伸ばしたい脚の踵を段差から落とし、ふくらはぎをじんわりと伸ばす。
内転筋群のストレッチ(イラスト左)/内腿の筋肉が機能していないと脚の外側にも負担がかかりやすい。よって、内腿を伸ばして症状が軽減するか試す。

対処法1.滞りのある部位を揉みほぐす

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膝の外側については痛みが出ている患部の直接マッサージもあり。前述した通り、痛みは腸脛靱帯と膝の外側の骨が擦れることで起きるため、患部付近をほぐすと周囲の筋肉も緩み、痛みが軽減することもある。

対処法2.スクワットで股関節付近の筋肉に刺激

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腸脛靱帯に付着する股関節付近の大腿筋膜腸筋。この筋肉が弱まり上手く使えていないと、腸脛靱帯に負担がかかりやすい。そこで、動かす練習を。両手をポケットあたりに置いて筋肉に刺激を入れ、スクワット。

3. 足の裏

朝ベッドから起き上がり、足を一歩踏み出した時に電気が走るような痛みを足裏に感じた場合、もしくは走行中に体重を乗せられないほどの痛みが生じた場合は、即座にランニングを中止すべき。足裏の筋肉が炎症を起こす足底筋膜炎の恐れがある。

走行中違和感が出たら徐々にスピードを落としストレッチ。痛みが和らぐようであればマッサージに移ろう。

燃えすぎ度チェック

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脚の裏側のストレッチ/壁に両手をついて体重を預け、足裏からアキレス腱にかけてをストレッチ。緊張している足裏の筋膜をじんわりと緩める。

対処法1.過緊張している足裏をマッサージ

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続いて、酷使された足裏の筋肉を揉みほぐす。ほぐしたい足と同じ側の手で足首を固定し、逆の手で足の甲を覆うように持つ。親指を足裏に当て、左右にグリグリと動かしながら筋肉を緩めていく。

対処法2.足首の関節をグリグリと動かす

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足裏の筋肉に極度の負担がかかるのは、アキレス腱付近の関節が機能していないせいでもある。外くるぶしと内くるぶしの少し下側を挟むように持ち、足首を上下左右に動かす。逆の手で固定すると動かしやすい。

4. ふくらはぎ

一口にふくらはぎの痛みといっても、疲労が蓄積したもの、筋線維損傷によるもの、筋断裂により肉離れを起こしている状態など原因はさまざま。

歩行困難な場合は有無を言わさずストップだが、軽度の場合はまず、ストレッチして様子を見る。その後、ピンポイントで関連部位を攻める。痛みが出たからとむやみに揉みほぐすのは危険。

燃えすぎ度チェック

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大腿前のストレッチ(イラスト右)/太腿の前が硬いことで、ふくらはぎに影響が出ることもある。一度しっかり伸ばしてみて症状の変化をチェックしよう。
内転筋群のストレッチ(イラスト左)/脚の内側の筋肉が機能していないと、ふくらはぎの外側に力が乗りやすくなる。これを防ぐために、内腿をストレッチする。

対処法1.足首を固定して膝を前後に動かす

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ふくらはぎの拮抗筋である、脛の筋肉に刺激を与える運動がこちら。外くるぶしと内くるぶしの少し下にあるくぼみを両手の親指で押さえ、その状態で膝を前に出す、戻すを繰り返す。踵は床から離さない。

対処法2.膝裏をほぐしてふくらはぎを緩める

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ふくらはぎの緊張を取るには、ふくらはぎの筋肉が付着する膝裏をマッサージするといい。片手の親指の腹を膝裏に当て、左右にグリグリとほぐしていく。両手を使ってもOK。血流が促されてむくみも取れる。

5. 脛

脛の鈍い痛みもまた、ランナーにとっては大きな障害。痛みが軽いからと油断すると、シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)に発展しかねない。根治には早めの対処が必要だ。ランニングのように蹴り出しを繰り返すと、そのたびに筋肉が収縮し、脛の骨を覆っている骨膜が引っ張られて炎症を起こす。収縮した筋肉の緊張を解くことからまずは始めよう。

燃えすぎ度チェック

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脛のストレッチ1(イラスト右)/収縮を繰り返すことで硬直した、脛の筋肉を念入りに伸ばす。段差に足を乗せ、膝を外に開く。膝の内側を軽く押す。
脛のストレッチ2(イラスト左)/低めの段差の端に足を掛け、外側半分を落とす。脛(特に外側)の筋肉がじんわりと伸びているのを感じよう。

対処法1.脛付近の筋肉の過緊張をマッサージで緩和する

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走る速度を落としてみて痛みがいくらか和らぐ程度であるなら、マッサージも有効。ふくらはぎを後ろから摑むようにして持ち、親指の腹を脛の横の筋肉に当て、左右にスライドさせるイメージでマッサージする。

対処法2.骨と筋肉を剝がすイメージで脛を縦方向にほぐす

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次に脛付近の筋肉を縦方向にほぐす。脛骨と筋肉の境目に親指を置く。上下にスライドさせて、骨から筋肉を剝がすようにほぐしていく。気持ちがいい程度に。痛みが悪化するようであればすぐにストップしよう。

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取材・文/黒澤祐美 イラストレーション/どいせな 取材協力/高橋昌之(アスレティックトレーナーATC、KMAPカイロプラクティック&スポーツセラピー)

(初出『Tarzan』No.689・2016年2月10日発売)

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