就寝前は「抗重力筋」を伸ばせ! 1日の疲れを取る8つのストレッチ
きょうも1日疲れたから、家に帰ったらシャワーを浴びてベッドに直行。こんな生活を続けていると、場合によっては筋肉が緊張して硬くなる悪循環に陥ってしまうかも。睡眠前のストレッチを習慣にして、疲れにくいカラダを手に入れよう!
取材・文/井上健二 撮影/山城健朗 スタイリスト/高島聖子 ヘア&メイク/天野誠吾 イラストレーション/加納徳博
(初出『Tarzan』No.723・2017年7月20日発売)
菅原順二さん
教えてくれた人
すがはら・じゅんじ アランチャ代表。全米公認ストレングス&コンディショニングスペシャリスト、Body Element Pilatesマスタートレーナー。
筋肉の緊張は、カラダの疲れ
カラダは動かしすぎても、動かさなくても硬く縮みやすい。運動などで使った後にケアしないと張り詰めて拘縮するし、デスクワークやスマホ操作などでじっと同じ姿勢を続けると血行不良などから硬くなるのだ。
短くなった筋肉は緊張しやすく、余計に硬くなりやすいという悪循環に陥る。この悪循環をすっぱり断ち切るために欠かせないのが、緩めたカラダを伸ばして柔らかくする習慣作り。その基本は、反動を使わないで筋肉をゆっくり静かに伸ばすスタティック・ストレッチ(以下ストレッチ)である。
8つのポーズで抗重力筋を伸ばそう
どこよりも消耗しやすいのは、重力に逆らって姿勢を保つ抗重力筋。頭を支える首すじ、脊柱を立てる腹筋群と背筋群、お尻、太腿、ふくらはぎなどの筋肉だ。
抗重力筋は姿勢を保つため、急に伸ばされると反射的に縮む伸張反射が起こりやすい(電車が揺れても倒れないのは抗重力筋の伸張反射のおかげ!)。ゆえにストレッチで静かに伸ばし、伸張反射を抑えながら緩めることが大切。
ストレッチでは1ポーズを20秒程度続けるのがお約束だが、時間を気にしすぎると無駄な緊張が生じやすい。「ゆっくり吐き、ゆっくり吸う深い呼吸を3回ほど繰り返すとちょうど15〜20秒。吐く息を意識すると筋肉は伸びやすく、疲れも取れやすくなります」(菅原順二トレーナー)。
ストレッチのやり方
STEP1:息を吐きながら筋肉を伸ばす
STEP2:ゆっくり吸って吐いてを3回繰り返す
1. 首すじ(板状筋群)
床にあぐらをかいて坐り、両手を頭の後ろで組む。背すじを伸ばして胸を張る。息を吐きながら両手で頭を前へ優しく倒し、首の後ろをストレッチ。吸って吐いてを3回繰り返す。伸びるところを探しながら角度を変えて行う。
2. 背中(僧帽筋・菱形筋)
あぐらをかいて坐り、両手を組み、床と平行に伸ばす。息を吐きながら両手を前へ押し出し、背中を丸めて左右の肩甲骨を離し、背中をストレッチ。吸って吐いてを3回繰り返す。そのまま上体を左右に傾け、同様に行う。
3. 腰(脊柱起立筋群)
床で仰向けになり、両腕をハの字で体側に広げる。両膝を曲げて、お腹の上まで引き上げる。息を吐きながらお尻を床から持ち上げ、両足の爪先を頭の延長線上の床について腰を伸ばし、吸って吐いてを3回繰り返す。
4. お腹(腹筋群)
床でうつ伏せになり、両肘を曲げて両手のひらを顔の横で床につく。両脚を腰幅に開いて伸ばす。息を吐きながら両肘を伸ばし、お腹を床につけたままで胸を床から持ち上げてお腹を伸ばし、吸って吐いてを3回繰り返す。
5. 股関節(腸腰筋)
左膝を床についてしゃがみ、右足を前に出す。左右の膝を90度曲げ、両腕を床と平行に伸ばし、手のひらを合わせる。背すじを伸ばして胸を張る。
息を吐きながら腰を前方へ押し出し、両腕を頭上へ上げて胸を開いて股関節を伸ばし、吸って吐いてを3回繰り返す。左右を変えて同様に行う。
6. お尻(大臀筋)
あぐらをかいて坐り、左膝の外側に右足をついて右膝を立て、右膝の外側を両手で抱える。背すじを伸ばして胸を張る。息を吐きながら両手で右膝を胸に近づけてお尻を伸ばし、吸って吐いてを3回繰り返す。左右を変えて。
7. 太腿後ろ側(ハムストリングス)
床にあぐらをかいて坐り、左膝を外側に開いて伸ばし、両手を左脚に添える。背すじを伸ばして胸を張る。息を吐きながら両手で左足の爪先を持って太腿後ろ側を伸ばし、吸って吐いてを3回繰り返す。左右を変えて。
8. ふくらはぎ(下腿三頭筋)
両手を床についてうつ伏せになり、逆V字を作るようにお尻を高く上げ、左足の足首に右足をクロス。息を吐きながら左足の踵を床に押し付けてふくらはぎを伸ばし、吸って吐いてを3回繰り返す。左右を変えて同様に。